投資信託販売会社の格付けは効果があるか?

2017/12/8の日経新聞に「R&I、投信販社を格付け」との記事が報じられた。

投信の販売会社とは、銀行、証券会社、郵便局等を指しているが、それらが「顧客本位の業務運営」をしているかで安心できる販売会社か否かを格付けする。

R&I(格付投資情報センター)のリリースによると格付けは以下で評価されるようだ。

SS:顧客の最善の利益を図るための取組みが十分に行われており、非常に優れた多くの要素がある

S:顧客の最善の利益を図るための取組が行われており、多くの優れた要素がある

A:顧客の最善の利益を図るための取組が行われており、優れた要素がある

B:顧客の最善の利益を図るための取組が行われているが、改善すべき要素がある

C:顧客の最善の利益を図るための取組が不十分であり、改善すべき要素が多い

格付け開始は、2018年1月からとなっている。

悪質な業者を排除する悪い取組みでないのは間違いなさそうだが、問題は効果が見込めるかである。

評価基準である「顧客本位の業務運営」は、金融庁が指導するもので、同庁より「顧客本位の業務運営に関する原則」なるペーパーが公表されており、金融機関には衆知徹底されているが、中身を見るとまあ当たり前のことばかりである。

手数料を明示するとか、顧客のリスク許容度に合ったものを提案するだとか、きちんと説明をするとか、まあ要するにそんなことが改めて書かれている。

それだけ、過去金融機関の体質が悪かったということであり、かねてからこのような指導はなされてきたが、一層強化された形だ。

この取組み度合によって格付けをすることで、より取組みが強化され顧客にとって好ましい状況になることを狙ってのことだが果たしてそうなるのか・・・

「顧客本位の業務運営」を実践する為に、金融各社はコンプライアンス強化という形でリスク許容度に合った商品提案やリスク説明の徹底などについて社内ルールを設けて管理してきていたが、実態は商品性を理解できない高齢顧客でも社内で一枚申請書を書けば買付OKになったり、逆に十分に理解した上でリスクテイクを求める顧客でも年齢を理由に取引を断ったり、リスク説明と称して録音機能付き電話で早口で目論見書の一部を棒読みしたり、、こんなことを非常に多く見たり聞いたりしたように覚えている。

更に昨年あたりから「フィデューシャリーデューティー」が徹底され、何がガラっと変わるのかと思ったら、分配型投信の販売を極端に避けるようになった。

確かに分配型投信は元本の一部を切り崩していくので、利益が出ている場合は課税回数が多くなり、損失の場合は強制的に元本が減っていくので効率のいいものではないので、これを避けるのは必ずしも悪い事ではないのだが、要は金融機関の短絡的な取組み姿勢に問題がある。

「顧客本位の業務運営」も「フィデューシャリーデューティー」も、顧客の利益の為にベストマッチな商品を真剣に提案する為にある原則のハズだが、金融機関は甚大な数の営業マンを一律にコントロールする為に、あれはダメ、これはダメといった具合に「やってはいけないリスト」をつくって営業活動を縛っているというのが実態だ。

知識と自分の分析力を持って顧客の為に知恵を絞っている金融マンにとっては大変的外れな縛りとなっており、実力が発揮しにくい原因であり、顧客にとっても逆に損失だ。

それでも子供のように「やってはいけないリスト」で管理しなければいけないのは、何も考えずに売りやすい商品を押し込むタイプがかなり多いからだ。

後者の間違ったパワーを抑えるには効果的だが、とてもじゃないがプロ集団がやることではない。そもそもこういったタイプの方々にはお金を触らせてはいけないのである。それでもパワーを持った方もいるので、何か他のポストをつくって適正に合った業務に従事して貰うなど考えるべきだろう。

前者の真剣に顧客に対峙する金融マンを増やしていくことが、真の「顧客本位の業務運営」でありその為に規模を縮小することがあってもいいと思う。

今回の投信販社の格付け開始は、今の金融機関には「やってはいけないリスト」を増強することにしかならないように思っている。

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