不動産投資初心者時代の失敗談。マンション経営初期の失敗

不動産投資

不動産投資はミドルリスクミドルリターンと言われ、比較的取り組みやすいものと言われます。
ただ、不動産ならではの難しさがたくさんありますし、株式や債券への投資とは決定的に異なり、海千山千の世界での経営そのものです。

私は、金融やビジネスの世界にある程度精通している自負があり、不動産投資は「計算できる美味しい市場」と踏んで参入しました。

もちろん舐めてかかるわけではなく、1年間じっくり勉強した上で、出会った不動産業者全てに驚かれるくらい細かいシミュレーションを回して臨みました。

それでも失敗しました。

いや、正確には、スタートで大きく躓きました。

今は、安心して計算通り回せていますので、私的には勝ちの途中の大負けを紹介したいと思います。

これから始める大家さん、今苦しまれている大家さんの参考になりましたら幸いです。

不動産投資スタート期に勉強したこと・準備していたこと

万全の準備をして、軋むほど石橋を叩いたと思っていましたし、悔いはありませんが、それでも躓きました。
これくらい準備すれば及第点にはなるかと思いますので、参考にしてください。

不動産投資指標の理解

元々、金融人間ですので投資の考え方や指標などはスッと頭に入ります。
それでも油断することなく、チェックしていきました。

  1. 利回り:表面利回り、実質利回り
  2. NOI: Net Operating Income。家賃収入から経費を引いた実質的な利益
  3. 空室率:時点空室率、稼働空室率、賃料空室率
  4. キャップレート
  5. イールドギャップ
  6. 返済比率
  7. 耐用年数:RC、鉄骨、木造など
  8. 減価償却費

などなど。

金融資産投資に共通する部分は多いですが、不動産投資特有の考え方はないかなどの視点を持って確認しました。

不動産の場合は、ローンを活用するので、収益性と借入のバランスに関わる指標(イールドギャップ、返済比率)が特徴的なところかと思います。

マンション経営の数字シミュレーション

これはエクセルシート6-7枚を連動させてかなり細かく行いました。

満室利回りにストレスをかけて、保守的な稼働率を想定し、年々家賃が下落する前提とします。
経費についても、管理費、募集広告費、入退去連動の修繕費、水道光熱費、固定資産税・都市計画税等々に加えて突発的な費用発生も想定にいれます。

不動産会社が持ってくるシミュレーションは甘く、(確信犯だと思いますが)税金が考慮されていないことが多いので、自分で回した想定と比べて、必要とあればヒアリングを入れていました。
面倒な客だと思われていたと思います。

税金は非常に大きなポイントになるので、ここも高めの税率で保守的に見積もります。

ここをしっかりしておかないと、入ってくるキャッシュは増えないのに、ローン返済に占める金利の割合が減る(経費計上額が減る)ことによって、デットクロスが生じることを認識できず、後で苦労することになります。

デットクロスが生じる年数あたりが売却を考えるタイミングのひとつにもなります。

シミュレーションに関しては、実態のほうが結構良い推移を辿ってくれており、
将来キャップレート(還元利回り)の上昇(売却価格の下落)を織り込んでも十分に利益が出る経営ができています。

ここは大きな狂いがないですね。
シミュレーションは詳細であればあるほどいいです。

不動産投資の泥臭い部分の勉強と覚悟

不動産業界はブラックな面がありますし、信じられない程ズボラな人(業者・入居者)もいるものです。
いくら勉強しても、ここをこなさないと上手くいきません。

相手を騙そうという業者もいますし、コンプライアンス意識がない業者も多いので、グレーな行為も横行しています。スルガ銀行問題が取り沙汰されましたが、似たような勧誘も沢山ありました。

入居者も油断できません。家賃滞納なんてザラにありますし、トラブルを起こす人、謎のクレームをつける人もいます。生活保護受給者は注意が必要ですし、自殺や高齢者の孤独死なども頭に入れておく必要があります。

管理会社や部屋付業者との付き合い方もポイントです。
何でそんなこともできないの?とか、その程度の事務処理に何日かかるの?みたなこともあります。
必ずしもしっかりした人ばかりではなく、注意の仕方によってはヘソを曲げてしまいます。

これらをそれなりにコントロールしないことには、やっていけません。

多くの業者のセミナーに行きましたし、町の不動産屋さんに飛び込んで話を聞いたりもしました。
自分が仕事で会った中で、有り得ないレベルの人を思い浮かべて、どこまでなら捌けるかといったイメトレもしましたね。

まあ、泥臭い部分は、やり出してみてみないと分からない部分が大きいですが、覚悟を決めていなければすぐに心が折れたと思います。

マンション1棟目購入時に失敗したこと

気を付けてはいたものの、購入の段階で失敗した点があります。
悔しい思いをしたと同時にリカバリーにかなり体力をつかいました。

地域間の利回り差の理解が甘かった

都内物件は利回りが低すぎる状況にあり、候補から除外していました。
しかし、地域間で利回り水準が異なることは理解していたものの、都内の低利回り水準が頭にこびりついていました。

他の都市部の物件を買ったのですが、もう1-1.5%高い利回りで買えたかなと後悔しました。
都内物件から見ればとても魅力的な利回りですし、稼働もいいのですが、もっと厳しくいけばよかったと思っています。

□反省点
  • 近隣地域の物件を数多くみてリアル相場観を把握すべき
  • その物件近辺の不動産屋にヒアリングする

物件だけに目が行き業者選びに失敗した

まず物件探しがもの凄く大変でした。
当たり前ですが、今時いい物件はそうそう見つかりません。
結構な数の不動産会社に連絡して、情報を集めました。

あまり良くない業者は対応や身なりからでも大体分かります。
とはいえ、物件がよければ背に腹は代えられないと思っていました。
事前に勉強していたようにある程度雑な業者とも上手くコミュニケーションしなければとも思っていました。

しかし、その斜め上を行きました。
後々、決済に向けてキレそうなになるのを何度も堪えましたし、下手すれば取返しのつかない失敗にもつながりかねないところでした。

□反省点
  • いい物件でも業者が悪ければ捨てるくらいの覚悟を持つ
  • 悪い業者は当たり前のことすらできない
  • 物件探しは大変だがひとつに固執しない
  • いくら欲しくても買い急がない

私は複数の業者を見てきたつもりですが、それでも物件との兼ね合いで業者には妥協してしまいました。ですが、多くの業者をみてきたのは決して無駄ではなかったと思っています。

もし、1社、2社の業者しか知らなかったら言われるがままになっていたかも知れません。やはり、業者選びも経験値が大切です。成約に至るのはほんの僅かですが、業者もたくさん見て勘を鍛えましょう。
下記サイトから、無料で効率的に面談セットできますので、経験値を稼ぐにはもってこいです。

契約面での失敗

もっと価格交渉できたかなという思いとは別にも、契約時にあり得ない失敗がありました。

業者選びの失敗とも密接に結びつくのですが、業者を介していた相手方と連絡が円滑に取れず「頭金の決定や振込が遅れた」、「契約書がその場で貰えず後日交付になった」、「融資解除の特約が外れていた」ということがありました。

特に「融資解除の特約が外れていた」ことでは随分肝を冷やしました。
契約書が後日交付になったこととも関連しますが、その場では融資解除を付ける話しだったのですが、手渡された契約書上では外されており、気付いたのはハンコを押した後でした。

結果的に、予定通り融資が引けたから良かったものの、もし融資が通らなければ売買契約の違約金で結構な額を持っていかれるところでした。

これはさすがにクレームを入れましたが、訳の分からない言い訳で逃げられましたね。

いくら言ってもダメ。暖簾に腕押しです。

□反省点
  • きちんとした段取りができていない時点でその業者を介しての契約は見送る
  • その場で契約書が受け取れないのであればハンコを押してはいけない
  • 後でやっときますを信用してはいけない
  • 決済完了までは騙されるかも知れない意識を持つ

マンション経営スタート後に味わった苦労

なんとか大家さんデビューすることができましたが、ここからがまた苦労の連続でした。
マンション経営は、本当に不労所得なんかじゃないです。

前オーナーからの引継ぎが滅茶苦茶

前オーナーからの引継ぎは、決済の日に銀行で鍵を手渡されたのみでした。
管理会社も付けておらず、かなりアバウトな自主管理をしているようでしたので、把握していないことが大量にありました。

設備付帯票もなければ、入居者の賃貸借契約書も全員分揃っていませんでした。
入居者の連絡先は、なんとか携帯番号だけ聞き出した人もいました。

オーナーチェンジしたタイミングで、新旧オーナー連名で各入居者のポストに連絡文を入れるのですが、「やっときますよ」と言ってくれながら、案の定やってない。じゃあやるって言うなよ・・。

そんな状態なので、入居者さん達は何も知らず、家賃も前オーナーに振り込んでいました。
銀行ローンの引き落としギリギリで、手元に家賃を集めました。

また、私への売却が決まって以降、前オーナーは物件清掃等一切のメンテナンスをやっていませんでした。マンションは手を掛けないとすぐに荒れます。
郵便ポスト下はチラシだらけ、共用部蛍光灯が切れて真っ暗、駐輪場には不法投棄がされている状態で、下見をした時から変わり果てていましたね。

売却が決まってどうでもよくなる気持ちも分からなくないですし、元々いい加減な人もいます。
引継ぎまでしっかりやって貰えるよう話しておくことも必要だなと感じました。

□反省点
  • 契約が見えた段階から引き継ぐべき事項を整理しておく
  • 可能な場合は業者を介さず直接前オーナーと話しをしておく
  • 入居者への通知・家賃振込先連絡は特に注意する

空室が多くローン返済ギリギリの状態

契約から決済までの間に、入退去のシーズンを挟んでいたこともあって、退去が集中しました。
私も仕事で多忙な時期でしたが、関係者間のスケジュールが合わず日が空いてしまっていました。
季節要因でもあるので仕方ないのですが。その後の入居者募集がされていませんでした。

さらに、上記のようにメンテナンスがされておらず、ゴミも散らかった状態ですから内覧があったとしても入居が決まるはずがありません。

前オーナーからすれば売却も決まっているし、最後1ヶ月分の賃料くらいいいやと思えば、何もしなくなるんでしょうね。
私に引き渡された時には、空室の多さに驚きました。

□反省点
  • 契約から決済まではできるだけ日を空けない
  • 契約から決済までどうしても日が空く場合は募集についても取り決めておく

満足な部屋付け業者がなかなか決まらない

引き継いですぐに募集を開始しましたが、なかなか埋まりませんでした。
地域特性もありますが、部屋付け業者さんは顔の見えないオーナーや管理会社の物件はあまり触りたがりません。

不動産業界はトラブルも多い業界ですから、業歴が長い業者さんほどどこの馬の骨か分からないオーナーは避けたがります。物件のことは知っていてもオーナーが変わると引いてしまったりもするものです。

急いで最寄り駅前の部屋付け業者さんに挨拶廻りをして、募集方針や広告費の水準などを聞いて回りました。これも業者さんによって結構色がありますし、どこも専任媒介でないと受けたがりません。
結局決めるのに2ヶ月程度かかりました。

□反省点
  • 契約が終わった段階から部屋付け業者(管理会社)の目星をつけておく
  • 広告費はケチらない(ケチるといい業者でも優先順位が落ちる)
  • その地区の優秀な営業マンが入れば個人名もチェックしておく

マンション近辺にゴミが散乱し苦情が来る

前オーナーが契約後にメンテナンスをしなくなったこともありますが、後から入居者や近隣住民に聞いて分かったことですが、元々管理はいい加減なようでした。

ポストの下にチラシが散乱なんてのはたまに見かける光景ですが、清潔にしていないので入居者以外の不法投棄でテレビや小型冷蔵庫、鉢植えが駐輪場に捨てられていました。

また、一番手を焼いたのが普段のゴミです。
収集日以外にもゴミを出す入居者が多く、指定場所に放るだけでしたのでカラスがつつき放題でした。
カラスがゴミ袋を食い破って、残飯をあさり、ゴミが散乱。
風邪が吹いてさらに散らかり近所からも苦情が来ました。

前オーナーは放置していたようですが、これだと入居者案内も来させられません。
ゴミステーションを設置し、市の回収では間に合わないので、ゴミ収集業者を契約しました。

□反省点
  • 手を打つのが遅くなったので入居者の話などを聞いておくべきだった
  • 業者費用を惜しんだために判断が遅れ、入居者募集で損をした

リフォーム費用が捻出できずリースを契約

経営開始当初は入居率が低迷したために資金に余裕がありませんでした。

そんな中、前オーナー時代から長く空いていた部屋が複数あり、いずれも部屋の状態がよくありませんでした。コンロが電熱式のまま、給湯器の調子が悪い、エアコンの効きが悪い、クロスがはがれている、フローリングにキズが入っている、換気扇が故障中等々、要は全く修繕がなされていない状態。

ここまで放置されていると、内覧に耐えうる部屋にするためには、まとまったお金がいります。
見積もりを取ると、資金的にギリギリか、場合により手出しが必要な金額。

そこでリースを提案されます。月に数万円程度で数年かけて支払う形。
手元が苦しかったので、リースを活用しましたが、割高な買い物をしてしまいました。

手出しをしてでもまとまったお金を出したほうが安かったです。
それに発注規模が大きくなるので、相見積もりでディスカウントも効かせられたはず。

理屈では分かっていましたが、後が怖いので手元資金を厚くしたい気持ちやすぐに部屋を綺麗にして入居を付けたい気持ちなどが先走り、冷静な行動が取れませんでした。

自分の弱さに負けて、その時だけ心が楽なほうに逃げてしまったなと思います。

□反省点
  • 一時的な出費の大きさに惑わされない
  • 相見積もりを徹底的に取るべきだった

入居者同士の暴力的トラブル

マンション経営開始から3-4ヶ月後、まだ十分な入居が得られず苦しい時です。

入居者同士のトラブルが起こり、聞けば警察が間に入ったとのこと。
この時は、まだ管理会社を付けていなかったので、自ら連絡を受けました。
管理会社費用すらケチっていたんです。

入居者Aが入居者Bのバイクに蹴りを入れ、結構なダメージがいったよう。
夜中だったがたまたま入居者Bは愛車に蹴りを浴びせられるところを目撃、警察を呼び、損害賠償の話にもなっていました。

正直どちらもあまり質の良くない入居者さんでしたが、苦しい状況だったので、両人とも今出ていかないでと思いましたね。同時に、マンション内で喧嘩になり、他の入居者さんが恐れて出ていったらどうしようという心配もありました。

結局、加害者側が居づらくなって出ていきました。
この時は新しい入居者さんがすぐに決まり助かりました。

どちらも前オーナー時代からの入居者さん(今は両人とも退去済)なので選べませんが、やはりある程度入居者の質は大事です。

□反省点
  • 管理会社を付け日頃からトラブルの可能性を想定しておく
  • 可能な限り入居者を選ぶ
  • 質の悪い入居者の退去はむしろ歓迎すべき

このような状況から盛り返し、今では安心感を持って満室経営を維持していますが、当時の苦しさは鮮明に覚えています。

考える程に心配になり眠れない日もありました。

満室にもっていくまでの経験談は、「マンション経営失敗から成功への体験談。満室獲得までにしたこと」で紹介しています。こちらも読んでみてください。

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