2023年2月26日発刊の日経ヴェリタスにて、2023年アナリストランキングが発表されました。
証券会社別ランキングは、大和証券が5年連続首位となりました。
続く上位勢は、みずほ、SMBC日興、野村、三菱UFJモルガン・スタンレーと日系大手証券が5位までを占めています。
得点差を見ると、大和が13,645ポイントで頭一つ抜けています。2位、3位がみずほ9,885ポイント、日興9,772ポイントと団子状態、以下野村6,558ポイント、三菱UFJMS5,571ポイントと続いています。やはり昨年同様に力の入れ方が分かれている印象が続きます。
ひと昔前のような競り合っていた時期とは変わり、各社それぞれの程よい位置どころに収めるようなある種居心地のよい状態になってきています。
以下、全体、業種別ランキング詳細を紹介します。
参考記事>>>
「日経アナリストランキング2018結果」
「日経アナリストランキング2019結果」
「日経アナリストランキング2020結果」
「日経アナリストランキング2021結果」
「日経アナリストランキング2022結果」
「日経アナリストランキング2024結果」
「アナリストランキングの仕組みと裏側。ランキングは信用できるのか?」
「アナリストはいらない? 証券アナリストは消える運命か」
目次
- 1 証券会社別ランキング
- 2 アナリスト総合ランキング
- 3 業種別ランキング
- 3.1 産業用電子機器
- 3.2 家電・AV機器
- 3.3 電子部品
- 3.4 自動車
- 3.5 自動車部品
- 3.6 医薬品
- 3.7 医療機器・サービス
- 3.8 トイレタリー・化粧品
- 3.9 化学・繊維
- 3.10 ガラス・紙パ・その他素材
- 3.11 鉄鋼・非鉄
- 3.12 精密機械・半導体製造装置
- 3.13 機械、造船・プラント
- 3.14 食品
- 3.15 銀行
- 3.16 証券・保険・その他金融
- 3.17 小売り
- 3.18 商社
- 3.19 建設
- 3.20 住宅・不動産
- 3.21 電力・ガス・石油
- 3.22 運輸・倉庫
- 3.23 通信
- 3.24 放送・広告
- 3.25 インターネット・ゲーム
- 3.26 ビジネスソリューション
- 3.27 レジャー・アミューズメント
- 3.28 中・小型株
- 3.29 REIT
- 3.30 ストラテジスト
- 3.31 テクニカル分析
- 3.32 クオンツ
- 4 アナリストランキング総評
証券会社別ランキング
証券会社別のランキングは以下の結果となりました。
こちらは各アナリストの獲得点数を会社別に合計し、順位付けされています。
証券会社別ランキング(括弧内は前年順位)
- 大和証券(1) 得点:13,645 アナリスト数:49
- みずほ証券(3) 得点:9,885 アナリスト数:36
- SMBC日興証券(2) 得点:9,772 アナリスト数:30
- 野村證券(4) 得点:6,558 アナリスト数:32
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(5) 得点:5,571 アナリスト数:26
- JPモルガン証券(6) 得点:2,596 アナリスト数:18
- シティグループ証券(12) 得点:1,908 アナリスト数:12
- SBI証券(9) 得点:1,734 アナリスト数:17
- 東海東京調査センター(7) 得点:1,705 アナリスト数:17
- 岡三証券(8) 得点:1,635 アナリスト数:13
- ゴールドマン・サックス証券(10) 得点:1,289 アナリスト数:12
- UBS証券(11) 得点:1,235 アナリスト数:14
- いちよし経済研究所(13) 得点:736 アナリスト数:14
- モルガン・スタンレーMUFG証券(14) 得点:707 アナリスト数:15
- BofA証券(18) 得点:556 アナリスト数:12
- ジェフリーズ証券(16) 得点:518 アナリスト数:4
- クレディ・スイス証券(15) 得点:402 アナリスト数:4
- パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ(17) 得点:292 アナリスト数:1
- マッコーリー・キャピタル証券(19) 得点:56 アナリスト数:1
- マネースクエア(22) 得点:17 アナリスト数:1
各セクターと市場関連部門を合計したランキング
日経ヴェリタスより引用
大和証券のアナリスト数は49人と前年よりも一人増え、他証券の30人台と比べやはり多く、力の入れ具合が違います。セクター別で首位のアナリスト数も大和は13人でみずほ、日興の各7人の倍ほどです。日系大手5社の順位や得点が前年とほぼ同じ位置にあり、やはり各社このあたりを落ち着きどころとする方向に変わりはないように伺えます。
アナリスト総合ランキング
全セクターを横断したアナリスト総合ランキングです。
セクターを超えて投票されます。
アナリスト総合ランキング(括弧内は前年順位)
- 村木正雄(1) SMBC日興
- 中根康夫(5) みずほ証券
- 山田幹也(3) みずほ証券
- 佐渡拓実(2) 大和証券
- 箱守英治(7) 大和証券
企業アナリスト総合ランキング1~5位
日経ヴェリタスより引用
村木氏は5年連続1位となりました。
中根氏、山田氏、佐渡氏も前年に続いてトップ5入りと大御所の位置どころが固まっています。
箱守氏が健闘で5位に食い込んでいます。
業種別ランキング
各セクター別のランキング。トップ5を列挙していきます。
順位、氏名、(前年順位)、所属の順です。敬称略。
産業用電子機器
山崎氏(54歳)は13年連続首位。一貫して野村所属。
- 山崎雅也(1) 野村
- 田中健士(2) みずほ
- 大川淳士(4) 大和
- 安井健二(3) UBS
- 吉積和孝(5) SMBC日興
家電・AV機器
中根氏(55歳)は8年連続首位。以前は大和、ドイツ証券等に所属。
- 中根康夫(1) みずほ
- 桂竜輔(2) SMBC日興
- 綾田純也(5) JPモルガン証券
- 岡崎優(3) 野村
- 栄哲史(4) 大和
電子部品
佐渡氏(54歳)は15年連続首位。一貫して大和所属。
- 佐渡拓実(1) 大和
- 後藤文秀(2) みずほ
- 秋月学(3) 野村
- 内野晃彦(4) 三菱UFJMS
- 平田真悟(5) UBS
自動車
箱守氏(48歳)は7年連続首位。一貫して大和所属。
- 箱守英治(1) 大和
- 桾本将隆(2) 野村
- 岸本章(3) JPモルガン
- 木下寿英(4) SMBC日興
- 遠藤功治(5) SBI
自動車部品
坂牧氏(46歳)が5年連続首位。
- 坂牧史郎(1) 大和
- 坂口大陸(2) みずほ
- 牧一統(4) SMBC日興
- 岩井徹(3) 三菱UFJMS
- 岸本章(5) JPモルガン
医薬品
橋口氏(44歳)が5年連続首位。以前はいちよし、日興に所属。
- 橋口和明(1) 大和
- 都築伸弥(2) みずほ
- 山口秀丸(4) シティグループ
- 田中洋(3) みずほ
- 甲谷宗也(6) 野村
医療機器・サービス
甲谷氏(46歳)が前年2位から首位へ。一貫して野村所属。
- 甲谷宗也(2) 野村
- 徳本進之介(5) SMBC日興
- 森貴宏(4) みずほ
- 山崎みえ(11) 三菱UFJMS
- 渡辺律夫(8) BofA
トイレタリー・化粧品
佐藤氏が7年連続首位。以前は住友信託を経て、みずほ所属。
- 佐藤和佳子(1) 三菱UFJMS
- 広住勝朗(2) 大和
- 宮迫光子(4) ジェフリーズ
- 桑原明貴子(9) JPモルガン
- 川本久恵(7) UBS
化学・繊維
山田氏(58歳)が5年連続首位。以前はゴールドマン・サックス等に所属。
- 山田幹也(1) みずほ
- 宮本剛(3) SMBC日興
- 梅林秀光(2) 大和
- 岡嵜茂樹(4) 野村
- 池田篤(5) ゴールドマン・サックス
ガラス・紙パ・その他素材
平川氏(40歳)が前年2位から首位。以前は岡三に所属。
- 平川教嗣(2) 大和
- 河野孝臣(3) 野村
- 松田洋(4) みずほ
- 桑原明貴子(9) JPモルガン
- 清田涼輔(7) 東海東京
鉄鋼・非鉄
山口氏(57歳)が5年連続首位。以前は岡三、UBS等に所属。
- 山口敦(1) SMBC日興
- 松本裕司(2) 野村
- 尾崎慎一郎(3) 大和
- 五老晴信(6) UBS
- 鈴木博行(4) みずほ
精密機械・半導体製造装置
山本氏(52歳)が前年3位から首位。以前は野村総研、メリルリンチ等に所属。
- 山本義継(3) みずほ
- 杉浦徹(2) 大和
- 中名生正弘(4) ジェフリーズ
- 芝野正紘(5) シティ
- 和田木哲哉(1) 三菱UFJMS
機械、造船・プラント
田井氏(51歳)が3年連続首位。一貫して大和所属。
- 田井宏介(1) 大和
- 宮城大和(3) みずほ
- 佐野友彦(4) JPモルガン
- 佐々木翼(5) 三菱UFJMS
- 諸田利春(6) 岡三
食品
高木氏が前年2位から首位。以前はJPモルガン、UBS等に所属。
- 高木直実(2) SMBC日興
- 守田誠(1) 大和
- 藤原悟史(4) 野村
- 佐治広(3) みずほ
- 角山智信(5) 三菱UFJMS
銀行
松野氏(41歳)が前年2位から首位。以前は大和、バークレイズに所属。
- 松野真央樹(2) みずほ
- 高宮健(1) 野村
- 佐藤雅彦(3) SMBC日興
- 高井晃(4) 大和
- 鮫島豊喜(7) SBI
証券・保険・その他金融
村木氏(46歳)が16年連続首位。以前は大和、ドイツ所属。総合ランキングも首位。
- 村木正雄(1) SMBC日興
- 辻野菜摘(2) 三菱UFJMS
- 渡辺和樹(3) 大和
- 原貴之(4) SMBC日興
- 丹羽孝一(6) シティグループ
小売り
小場氏(55歳)が前年2位から首位。三菱銀行を経てMUMSS所属。
- 小場啓司(2) 三菱UFJMS
- 高橋俊雄(1) みずほ
- 金森都(3) SMBC日興
- 風早隆弘(4) クレディ・スイス
- 川原潤(5) 大和
商社
森本氏(40歳)が6年連続首位。以前はMUMSSに所属。
- 森本晃(1) SMBC日興
- 永野雅幸(2) 大和
- 成田康浩(3) 野村
- 水野加奈子(6) みずほ
- 栗原英明(5) 東海東京
建設
寺岡氏(53歳)が4年連続首位。一貫して大和所属。
- 寺岡秀明(1) 大和
- 川嶋宏樹(3) SMBC日興
- 八木亮(4) 三菱UFJMS
- 浜川友吾(-) 野村
- 中川義裕(5) みずほ
住宅・不動産
田沢氏(45歳)が4年連続首位。以前は三和銀行、バークレイズ、UBSに所属。
- 田沢淳一(1) SMBC日興
- 姉川俊幸(3) 三菱UFJMS
- 橋本嘉寛(2) みずほ
- 福島大輔(5) 野村
- 増宮守(4) 大和
電力・ガス・石油
西川氏(37歳)が4年連続首位。一貫して大和所属。
- 西川周作(1) 大和
- 新家法昌(2) みずほ
- 荻野零児(3) 三菱UFJMS
- 松本繁季(4) 野村
- 神近広二(5) SMBC日興
運輸・倉庫
鈴木氏(47歳)が4年連続首位。一貫してみずほ所属。
- 鈴木克彦(1) みずほ
- 姫野良太(2) JPモルガン
- 一柳創(3) 大和
- 土谷康仁(4) 三菱UFJMS
- 広兼賢治(5) 野村
通信
菊池氏(53歳)が3年連続首位。以前は野村、ドイツ所属。
- 菊池悟(1) SMBC日興
- 安藤義夫(2) 大和
- 増野大作(3) 野村
- 田中秀明(4) 三菱UFJMS
- 堀雄介(6) みずほ
放送・広告
石原氏(49歳)が3年連続首位。一貫して大和所属。
- 石原太郎(1) 大和
- 前田栄二(2) SMBC日興
- 岸本晃知(3) みずほ
- 森はるか(4) JPモルガン
- 木下芳之(9) BofA
インターネット・ゲーム
小山氏(52歳)が9年連続首位。以前はドイツ所属
- 小山武史(1) みずほ
- 森田正司(3) 岡三
- 森はるか(2) JPモルガン
- 山村淳子(7) シティグループ
- 前田栄二(5) SMBC日興
ビジネスソリューション
上野氏(57歳)が3年連続首位。一貫して大和所属。
- 上野真(1) 大和
- 田中誓(2) ゴールドマン・サックス
- 菊池悟(3) SMBC日興
- 堀雄介(4) みずほ
- 田中秀明(5) 三菱UFJMS
レジャー・アミューズメント
関根氏(35歳)が2年連続首位。一貫して大和所属。
- 関根哲(1) 大和
- 織田浩史(2) SMBC日興
- 森田正史(3) 岡三
- 山村淳子(6) シティグループ
- 小山武史(5) みずほ
中・小型株
長谷川氏(57歳)が3年連続首位。以前は三洋等所属。
- 長谷川義人(1) 三菱UFJMS
- 三浦勇介(2) 大和
- 古島次郎(3) 大和
- 氏原義裕(4) SBI
- 皆川良造(7) SMBC日興
REIT
鳥井氏(44歳)が8年連続首位。以前は大和所属。
- 鳥井裕史(1) SMBC日興
- 大村恒平(3) 野村
- 大畠陽介(2) みずほ
- 秋山巧(4) 大和
- 石井翔大(5) 三菱UFJMS
ストラテジスト
阿部氏(48歳)が前年5位から首位。以前は財務省、外資系証券等所属。
- 阿部健児(5) 大和
- 菊地正俊(2) みずほ
- 宮島秀直(4) パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ
- 阪上亮太(3) シティグループ
- 北野一(6) SBI
テクニカル分析
木野内氏(58歳)が4年連続首位。一貫して大和所属。
- 木野内栄治(1) 大和
- 吉野豊(2) SMBC日興
- 三浦豊(3) みずほ
- 鈴木誠一(4) 東海東京
- 仙石誠(5) 東海東京
クオンツ
永吉氏(49歳)が6年連続首位。以前は大和、メリルリンチ所属。
- 永吉勇人(1) みずほ
- 鈴木政博(3) 大和
- 伊藤桂一(2) SMBC日興
- 古川真(4) 三菱UFJMS
- 波多野紅美(6) SBI
以上、セクター別アナリストランキング
日経ヴェリタスより引用
アナリストランキング総評
依然として全体、各セクター内ともに無風状態が続いています。
大御所が上位にドカンと座り、居場所が定まっている状況でしょう。
昨年、今年と証券会社間の移籍も極端に少ない印象を受けます。
無論アナリストランキングは各社のエクイティビジネスの中のひとつのイベントでしかありませんが、ここから見るだけでも各社の当ビジネスに対する力の入れ具合、温度感が伝わってくるように思えます。
戦国的に優秀なアナリスト、セールス、トレーダーを引き抜き合うことが極端に減っている感じがあり、各社「うちはこのくらいの位置どころでいい」というのが消極的な意味で定まったのかなという風に見てとれます。
外資系証券は日本株ビジネスを結構縮小してきて現状水準くらいを残すのかと思われますし、日系大手5社も大和は現状維持を目指す形でしょうか。
ベテラン勢の移籍ラッシュは数年前に終わっていますし、若手を育成も粛々と必要数を育てるといった感じでしょうか。
グローバル株式市場は利上げ局面で難しいかじ取りが要求される状況とはいえ、ビジネス規模の母体となる売買代金はヒストリカルには高い水準が継続していますし、急にビジネスが細るということはないでしょう。次にセルサイド、バイサイドにとって美味しいビジネスになる時まで派手な動きはないのでしょうか。
また、SMBC日興証券の相場操縦はまさにこの世界を直撃する出来事でありました。
逮捕者まで出ていますが、今回のランキングを見て取る限りでは当事者のSMBC日興を含めて壊滅的なショックにはなっていないように見られます。
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