2021年2月28日発刊の日経ヴェリタスにて、2021年アナリストランキングが発表されました。
証券会社別ランキングは、大和証券が3年連続首位となりました。
続く上位勢は、みずほ、SMBC日興、野村、三菱UFJモルガン・スタンレーと日系大手証券が5位までを占めています。
昨年同様に大和が頭一つ抜け出ており、後続は比較的僅差で続いている格好です。
一昨年までは、みずほ、SMBC日興等が注力を続けていましたが、ランキングへの力の入れようが分かれてきたように思われます。
以下、全体、業種別ランキング詳細を紹介します。
参考記事>>>
「日経アナリストランキング2018結果」
「日経アナリストランキング2019結果」
「日経アナリストランキング2020結果」
「日経アナリストランキング2022結果」
「アナリストランキングの仕組みと裏側。ランキングは信用できるのか?」
「アナリストはいらない? 証券アナリストは消える運命か」
目次
- 1 証券会社別ランキング
- 2 アナリスト総合ランキング
- 3 業種別ランキング
- 3.1 産業用電子機器
- 3.2 家電・AV機器
- 3.3 電子部品
- 3.4 自動車
- 3.5 自動車部品
- 3.6 医薬品
- 3.7 医療機器・サービス
- 3.8 トイレタリー・化粧品
- 3.9 化学・繊維
- 3.10 ガラス・紙パ・その他素材
- 3.11 鉄鋼・非鉄
- 3.12 精密機械・半導体製造装置
- 3.13 機械・造船・プラント
- 3.14 食品
- 3.15 銀行
- 3.16 証券・保険・その他金融
- 3.17 小売り
- 3.18 商社
- 3.19 建設
- 3.20 住宅・不動産
- 3.21 電力・ガス・石油
- 3.22 運輸・倉庫
- 3.23 通信
- 3.24 放送・広告
- 3.25 インターネット・ゲーム
- 3.26 ビジネスソリューション
- 3.27 レジャー・アミューズメント
- 3.28 中・小型株
- 3.29 REIT
- 3.30 ストラテジスト
- 3.31 テクニカル分析
- 3.32 クオンツ
- 4 アナリストランキング総評
証券会社別ランキング
証券会社別のランキングは以下の結果となりました。
こちらは各アナリストの獲得点数を会社別に合計し、順位付けされています。
- 大和証券(1) 得点:12699 アナリスト数:45
- みずほ証券(2) 得点:9789 アナリスト数:42
- SMBC日興証券(4) 得点:9721 アナリスト数:33
- 野村証券(3) 得点:8377 アナリスト数:31
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(5) 得点:5348 アナリスト数:26
- JPモルガン証券(6) 得点:2886 アナリスト数:15
- 東海東京調査センター(8) 得点:1908 アナリスト数:19
- ゴールドマン・サックス証券(11) 得点:1627 アナリスト数:14
- 岡三証券(7) 得点:1566 アナリスト数:16
- UBS証券(10) 得点:1421 アナリスト数:14
- SBI証券(12) 得点:1302 アナリスト数:13
- シティグループ証券(9) 得点:1143 アナリスト数:9
- いちよし証券(14) 得点:903 アナリスト数:15
- モルガン・スタンレーMUFG証券(13) 得点:712 アナリスト数:14
- クレディ・スイス証券(17) 得点:483 アナリスト数:8
- ジェフリーズ証券(16) 得点:477 アナリスト数:5
- BofA証券(15) 得点:437 アナリスト数:9
- パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ(19) 得点:307 アナリスト数:1
- マネースクエア(-) 得点:86 アナリスト数:1
- マッコーリー・キャピタル証券(18) 得点:40 アナリスト数:1
日経ヴェリタスより引用
大和証券のアナリスト層が前年、前々年より更に厚くなっている印象です。
大和は個別セクター1位のアナリスト数が12人と前年の8人から大きく増え、1位を獲得したアナリスト数でみても8年ぶり首位となっています。
45人のアナリストがランクインしており幅も広いです。
他社に比べ、全社的に注力度合が高いことが窺えます。
他社は前年並みといったところでしょうか。
アナリスト総合ランキング
全セクターを横断したアナリスト総合ランキングです。
セクターを超えて、投票されます。
- 村木正雄(1) SMBC日興
- 中根康夫(8) みずほ
- 和田木哲哉(4) 野村証券
- 山田幹也(3) みずほ
- 佐渡拓実(17) 大和証券
日経ヴェリタスより引用
村木氏が3年連続首位を獲得しています。
2位~5位のアナリストも常連のベテラン組。
常連の一人である渡辺英克氏(みずほ)の引退に伴って1席空隙ができたのも今回の特徴です。
業種別ランキング
各セクター別のランキング。トップ5を列挙していきます。
順位、氏名、(前年順位)、所属の順です。敬称略。
産業用電子機器
山崎氏(52歳)は11年連続首位。一貫して野村に在籍。
- 山崎雅也(1) 野村
- 田中健士(2) みずほ
- 安井健二(3) UBS
- 吉積和孝(5) SMBC日興
- 前川英之(9) クレディ・スイス
家電・AV機器
中根氏(53歳)は6年連続首位。以前は大和、ドイツ証券等に所属。
- 中根康夫(1) みずほ
- 桂竜輔(2) SMBC日興
- 岡崎優(3) 野村
- 綾田純也(5) JPモルガン
- 栄哲史(4) 大和
電子部品
佐渡氏(52歳)は13年連続首位。一貫して大和所属。
- 佐渡拓実(1) 大和
- 後藤文秀(2) みずほ
- 秋月学(3) 野村
- 内野晃彦(4) 三菱UFJMS
- 渡辺洋治(5) SMBC日興
自動車
箱守氏(46歳)は6年連続首位。一貫して大和所属。
- 箱守英治(1) 大和
- 桾本将隆(2) 野村
- 岸本章(3) JPモルガン
- 湯沢康太(4) ゴールドマン・サックス
- 遠藤功治(7) SBI
自動車部品
坂牧氏(44歳)が3年連続首位。一貫して大和所属。
- 坂牧史郎(1) 大和
- 坂口大陸(2) みずほ
- 岩井徹(4) 三菱UFJMS
- 岸本章(6) JPモルガン
- 山岡久紘(3) 野村
医薬品
橋口氏(42歳)が3年連続首位。以前はいちよし、日興に所属。
- 橋口和明(1) 大和
- 山口秀丸(2) シティグループ
- 田中洋(3) みずほ
- 都築伸弥(-) みずほ
- 甲谷宗也(5) 野村
医療機器・サービス
葭原氏が前年2位から首位。
- 葭原友子(2) 大和
- 甲谷宗也(3) 野村
- 小池幸弘(4) UBS
- 森貴宏(9) みずほ
- 永田昌寿(14) いちよし
トイレタリー・化粧品
佐藤氏が5年連続首位。以前は住友信託を経て、みずほ所属。
- 佐藤和佳子(1) 三菱UFJMS
- 広住勝郎(2) 大和
- 宮迫光子(3) ジェフリーズ
- 佐藤有(9) SMBC日興
- 大花裕司(6) 岡三
化学・繊維
山田氏(56歳)が3年連続首位。以前はゴールドマンサックス等に所属。
- 山田幹也(1) みずほ
- 梅林秀光(4) 大和
- 岡嵜茂樹(3) 野村
- 池田篤(2) ゴールドマン・サックス
- 宮本剛(5) SMBC日興
ガラス・紙パ・その他素材
佐藤氏が2年連続首位。以前はドイツ証券に所属。
- 佐藤有(1) SMBC日興
- 平川教嗣(2) 大和
- 河野孝臣(4) 野村
- 松田洋(3) みずほ
- 桑原明貴子(5) BofA
鉄鋼・非鉄
山口氏(55歳)が3年連続首位。以前は岡三、UBSに所属。
- 山口敦(1) SMBC日興
- 松本裕司(2) 野村
- 尾崎慎一郎(3) 大和
- 鈴木博行(5) みずほ
- 重岡絵美里(10) 大和
精密機械・半導体製造装置
和田木氏(52歳)が5年連続首位。東京エレクトロンを経て野村所属。
- 和田木哲哉(1) 野村
- 山本義継(6) みずほ
- 中名生正弘(2) ジェフリーズ
- 杉浦徹(3) 大和
- 芝野正紘(4) シティグループ
機械・造船・プラント
田井氏(49歳)が前年2位から首位。一貫して大和所属。
- 田井宏介(2) 大和
- 斎藤克史(1) 野村
- 佐野友彦(3) JPモルガン
- 宮城大和(4) みずほ
- 諸田利春(9) SBI
食品
守田氏(43歳)が前年3位から首位。一貫して大和所属。
- 守田誠(3) 大和
- 藤原悟史(4) 野村
- 佐治広(2) みずほ
- 角田律子(7) JPモルガン
- 角山智信(5) 三菱UFJMS
銀行
松野氏(39歳)が前年2位から首位。以前はバークレイズ所属。
- 松野真央樹(2) みずほ
- 高宮健(1) 野村
- 高井晃(3) 大和
- 佐藤雅彦(4) SMBC日興
- 中村真一郎(6) ゴールドマン・サックス
証券・保険・その他金融
村木氏(44歳)が14年連続首位。以前は大和、ドイツ所属。44歳にして14年連続首位。
総合ランキングでもトップです。
- 村木正雄(1) SMBC日興
- 辻野菜摘(2) 三菱UFJMS
- 渡辺和樹(3) 大和
- 丹羽孝一(5) シティグループ
- 原貴之(4) SMBC日興
小売り
小場氏(53歳)が6年連続首位。一貫して三菱所属。
- 小場啓司(1) 三菱UFJMS
- 高橋俊雄(2) みずほ
- 金森都(3) SMBC日興
- 風早隆弘(14) クレディ・スイス
- 川原潤(5) 大和
商社
森本氏(38歳)が4年連続首位。以前はモルガン・スタンレー所属。
- 森本晃(1) SMBC日興
- 永野雅幸(3) 大和
- 成田康浩(2) 野村
- 楠木秀憲(4) みずほ
- 宮崎高志(5) ゴールドマン・サックス
建設
寺岡氏(51歳)が2年連続首位。一貫して大和所属。
- 寺岡秀明(1) 大和
- 前川健太郎(2) 野村
- 川島宏樹(3) SMBC日興
- 八木亮(4) 三菱UFJMS
- 栗原英明(5) 東海東京
住宅・不動産
田沢氏(43歳)が2年連続首位。以前は三和銀行、バークレイズ、UBSに所属。
- 田沢淳一(1) SMBC日興
- 橋本嘉寛(2) みずほ
- 福島大輔(3) 野村
- 姉川俊幸(4) 三菱UFJMS
- 増宮守(5) 大和
電力・ガス・石油
西川氏(35歳)が前年2位から首位。一貫して大和所属。
- 西川周作(2) 大和
- 新家法昌(1) みずほ
- 荻野零児(3) 三菱UFJMS
- 松本繁季(4) 野村
- 神近広二(5) SMBC日興
運輸・倉庫
鈴木氏(45歳)が2年連続首位。一貫してみずほ所属。
- 鈴木克彦(1) みずほ
- 姫野良太(2) JPモルガン
- 一柳創(3) 大和
- 広兼賢治(4) 野村
- 土谷康仁(12) 三菱UFJMS
通信
菊池氏(51歳)が前年3位から首位。以前は野村、ドイツ所属。
- 菊池悟(3) SMBC日興
- 安藤義夫(1) 大和
- 増野大作(2) 野村
- 田中秀明(4) 三菱UFJMS
- 堀雄介(7) みずほ
放送・広告
石原氏(47歳)が前年2位から首位。一貫して大和所属。
- 石原太郎(2) 大和
- 長尾佳尚(3) 野村
- 前田栄二(4) SMBC日興
- 森はるか(7) JPモルガン
- 岸本晃知(-) みずほ
インターネット・ゲーム
小山氏(50歳)が7年連続首位。以前はドイツ証券所属。
- 小山武史(1) みずほ
- 森はるか(2) JPモルガン
- 山村淳子(4) 野村
- 森田正司(3) 岡三
- 前田栄二(6) SMBC日興
ビジネスソリューション
上野氏(55歳)が前年3位から首位。一貫して大和所属。
- 上野真(3) 大和
- 菊池悟(2) SMBC日興
- 田中秀明(4) 三菱UFJMS
- 田中誓(1) ゴールドマンサックス
- 堀雄介(5) みずほ
レジャー・アミューズメント
山村氏が4年連続首位。一貫して野村所属。
- 山村淳子(1) 野村
- 織田浩史(2) SMBC日興
- 森田正司(4) 岡三
- 関根哲(7) 大和
- 石原太郎(5) 大和
中・小型株
長谷川氏(55歳)が前年2位から首位。以前は三洋所属。
- 長谷川義人(2) 三菱UFJMS
- 古島次郎(1) 大和
- 三浦勇介(3) 大和
- 新井勝巳(5) 三菱UFJMS
- 張谷幸一(10) いちよし
REIT
鳥井氏(42歳)が6年連続首位。以前は大和所属。
- 鳥井裕史(1) SMBC日興
- 大村恒平(2) 大和
- 大畠陽介(4) みずほ
- 荒木智浩(3) 野村
- 石井翔大(5) 三菱MFJMS
ストラテジスト
圷氏が前年2位から首位。一貫してSMBC日興所属。
- 圷正嗣(2) SMBC日興
- 阪上亮太(3) JPモルガン
- 菊地正俊(1) みずほ
- 宮島秀直(4) パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ
- 北野一(5) SBI証券
テクニカル分析
木野内氏(56歳)が2年連続首位。一貫して大和所属。
- 木野内栄治(1) 大和
- 吉野豊(2) SMBC日興
- 三浦豊(4) みずほ
- 鈴木誠一(5) 東海東京
- 仙石誠(6) 東海東京
クオンツ
永吉氏(47歳)が4年連続首位。以前は大和、メリルリンチ所属。
- 永吉勇人(1) みずほ
- 伊藤桂一(2) SMBC日興
- 鈴木政博(5) 大和
- 古川真(4) 三菱UFJMS
- 橋本純一(6) 大和
以上、日経ヴェリタスより引用
アナリストランキング総評
全32部門中22部門で首位のアナリストが前年と同様でした。
2020年は31部門中25部門で首位が変わっていませんので、少し入れ替わりが見られました。
ただ、古株は依然として残り続けるでしょうし、移籍の動きもピークは過ぎた感があります。
大和証券で若手育成が進んでいることが見て取れましたので、数年かけてフレッシュな顔ぶれも台頭してくるでしょうか。
全体の印象・・・毎年同じことをコメントしている気がしますが、さらにさらに固まっている印象が強いです。
外資系は日本株ビジネスからは距離を置いて数年になりますし、日系大手5証券もエクイティビジネスは継続的に推進していくものの、アナリストランキングについては力を入れるのは大和証券くらいでしょう。
かつては野村、みずほあたりが力を入れていましたが、今は肩の力を抜いてボチボチくらいのスタンスじゃないでしょうか。
アナリストランキングによる広告効果が薄れてきているのかも知れません。
それから、まだ小勢力ですが、今後ランキングを上げて来そうなのがSBI証券です。
SBI証券と言えば世間のイメージはネット証券ですが、5-6年前から徐々にホールセールビジネスにも進出してきています。
機関投資家向けビジネスの体制を拡大してきており、アナリストの採用も積極的です。
若手や他社の最古参くらいのアナリストを採用しているイメージがあります。
ただ、印象として報酬の払いがあまりよくない感じがありますので、脂が乗ったプレーヤーは獲得しづらいでしょう。
投資銀行ビジネスも大手に追いつくべく体制を整えている最中のようなので、一定の相乗効果のあるアナリストランキングには注力する時期かも知れません。
当面は、今回に近い結果となりそうな雰囲気です。
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