東証マザーズとジャスダックが統合した場合の影響について

株式投資

東証マザーズとジャスダックが統合するとの報道が出ています。

2018年1月6日の読売新聞で、「マザーズとジャスダック統合検討…市場活性化」と報じられています。

報道によれば日本取引所グループ(JPX)は、2019年度からの2022年度までの中期経営計画に合わせ、統合の検討を本格化させるとあります。

次の中期経営計画がスタートするのは2019年度からですが、それに合わせて2018年半ばから本格的に検討するという内容ですね。

マザーズとジャスダックが統合した場合の影響について、書いてみたいと思います。

マザーズとジャスダックが統合した場合の影響は

統合が実現した場合の影響は、基本的にポジティブだと思っています。

以下が統合した場合も個人的評価です。

〇ふたつと△ひとつです。×はないです。

〇株価指数が統合されより偏りの少ない指数になる
〇市場規模が大きくなり投資資金を呼び込みやすくなる可能性
△上場基準、上場廃止基準の1本化

株価指数が統合され、より偏りの少ない指数になる

市場が統合されると伴って株価指数も1本化されます。
(規模別などでサブインデックスは別でありますが)

現在は、それぞれ代表指数は東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均がそれぞれあります。

このうち東証マザーズ指数はかなり一部の業種と銘柄に偏った指数です。

マザーズ上場銘柄は、バイオ銘柄が非常に多いです。
バイオ銘柄はご存じのように非常に値動きが激しく、これらの株価が暴れると指数にもかなりの影響が出てきます。
また、バイオ企業は赤字の企業が非常に多いのも特徴です。マザーズは上場要件で直前期利益に関わる基準がありませんので赤字でも上場可能です。

近年、バイオ銘柄は山中教授のノーベル賞受賞やバイオ銘柄の雄であるペプチドリームの急成長が業界そのもののイメージを変えたこともあって、セクター全体として急激に時価総額が大きくなりました。

赤字なのに時価総額はそれなりに大きいんです。

バイオ銘柄群の動きでマザーズ指数は大きく影響を受けることになりますが、これらの多くは赤字の為に株価水準が高いのか低いのかを判断しにくいのです。

最も基本となる株価指標はPERですが、ご存じのように株価/一株当たり利益で求めます。
どちらが大きいかで倍率が動く、シーソーの関係にあります。

個別銘柄の場合もそうですし、市場全体でもPERを見ていきます。

ですが、影響の大きい銘柄の多くが赤字だとPERが計算できません。利益がマイナスの場合は計算しません。市場全体では赤字企業もいるのが当然ですが、マザーズの場合はあまりに赤字のバイオ企業のウエイトが大きいので、まともなPERが出なくて割高、割安の判断がしづらいのです。

マザーズ指数は、バイオに偏った指数構成になっており、かつ株価指標(バリュエーション)も機能していないのです。これが、ジャスダックと一緒になって業種バランスがとれてくれば市場全体を表す指数に近づき、株価指標(バリュエーション)も目安となる水準感が見えてきます。

参考にこちらからマザーズ指数の寄与度上位を引用させてもらいます。
そう、書いてませんでしたがミクシィのウエイトも大きくてこれでも結構動きます。

マザーズ指数寄与度ベスト10(2017年3月10日時点の浮動株調整後時価総額ランキング)

順位コード銘柄名業種時価総額(百万円)構成比率(%)
12121ミクシィサービス業226,97012.5%
24565そーせいグループ医薬品170,9069.4%
37779CYBERDYNE精密機器139,4357.7%
42160ジーエヌアイグループ医薬品73,3754.0%
56047Gunosyサービス業42,6582.3%
63782ディー・ディー・エス情報・通信業38,0542.1%
74564オンコセラピー・サイエンス医薬品30,1041.7%
83914JIG-SAW情報・通信業29,0671.6%
92497ユナイテッドサービス業26,4811.5%
104571ナノキャリア医薬品26,1311.4%

市場規模が大きくなって投資資金が呼び込みやすくなる

マザーズとジャスダックが統合した場合には、上場企業数1000社、時価総額約16兆円の市場規模となり世界有数の新興市場となります。

海外投資家の中小型株への投資もかなり増えてきていますが、市場規模が大きくなることで個別銘柄の一本釣りだけでなく、この市場自体に注目してくる投資家が増えることが考えられます。

上述したように、目安となるバランスの取れた指数ができることでもベンチマーク性が高まりパフォーマンスが計測しやすくなりますし、インデックス運用の資金を呼び込む可能性も出てきます。

上場基準、上場廃止基準の1本化

これは一長一短でしょうか。

マザーズ、ジャスダックでそれぞれ基準が異なっており、特に上場廃止基準で企業から不満が出ることがあります。

上場廃止基準は、売上、利益、流通株式数、株価、出来高等々ありますが、少しづつ異なっています。
もちろん安定している会社には関係ないですが、先に触れたバイオ企業やその他ユニークなベンチャー企業などはアップサイドも大きい反面、上場廃止に追い込まれるリスクも相応にあります。

その際に、違う市場であれば助かったということもあり、似たような会社でも市場によって道が分かれてきます。

まあ、廃止基準に近づかないのが一番ですが、産業を育てる上では例えば米ナスダックのように業績による廃止基準をなしにするなど、統合の際にルールの見直しがあってもいいようにも思われます。

勿論、上場廃止基準は投資家保護の為のものですから、それとのバランスは大事ですが。

逆に上場基準になりますが、これも少しづつ異なり、どちらか一方であれば上場可能というケースも往々にしてあります。
難易度はどちらも同じくらいですが、例えば先に述べたようにマザーズでは赤字でも上場可能であったり、その一方で流通株式基準はジャスダックのほうが緩かったりと少しづつ違いがあります。

これが一本化された時に、レベル感としては上場してもいい会社でも微妙に基準をクリアできなくて上場できずといったことも出てくるでしょうから、今まで二つあったものが一つのルールになることのマイナス点もあります。
柔軟に審査すればいいとも考えられますが、ある程度定量的な基準を設けておかないと審査担当者によりばらつきも出てきます。このあたりも上手く落としどころが見つかるといいのですが。

以上、統合報道が出て少し考えてみましたが、概ねポジティブかと思っています。
今後の経過を見守りたいとおもいます。

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