上場セレモニーの全体像。上場当日の経営陣のスケジュール

金融業界
興味がある人もいるかもしれませんが、意外と知られていない、上場当日の社長、役員のスケジュールについて紹介したいと思います。
近年上場した会社では、ホームページに上場セレモニーの様子などをアップされていたりもするので、社員さんを含めた雰囲気はよく伝わるかと思います。
ただ、社長はじめ首脳陣が何をしているかは、あまり公開されていないように思いますので、上場セレモニーだけでなく朝からのスケジュールを紹介したいと思います。

主幹事証券会社で初値が付くのを見届ける

上場当日、社長は経営幹部とともに朝一で主幹事証券会社へ向かいます。
大体8時から8時半頃に証券会社へ到着し、証券会社の役員、担当者に迎えられて応接室へ通されます。
ここで簡単に挨拶を交わすと、初値が付くのを見届けるためにトレーディングフロアへ行きます。
トレーディングフロアに入ると、証券会社のマーケット部門の社員が仕事の手を止めて立っており、拍手を受けながら会議室へと歩いていきます。
会議室に入ると、マーケット部門の社員から株価の付き方(板寄せの方式)について簡単に説明を受けて、そのままの流れで初値が付くのを見届けることになります。
スクリーン上には自社の株価「板」が表示されており、刻一刻と変わる板寄せの状況について、解説を受けながら見守ります。
株価の気配値は結構動くのでドキドキ感はありますが、大体の社長は勉強になったと言いながら楽しそうに見ている印象です。
ここまで来ると騒いでも仕方がないので、値付きがどうあれ楽しんで見ていようという心境になるのでしょう。
証券会社側のほうがドキドキしていたりしますが、さすがに上場までこぎ着ける社長ですから、肝が据わっています。

そして、寄付きを迎え、初値がつくと、改めて祝福の拍手を受けます。

公開価格割れしてしまったときは、少し気まずい雰囲気はありますが、それでも上場おめでとうの意味で拍手です。

売り気配または買い気配で、一向に値が付かないときもありますが、ある程度のところで切り上げます。

初値が付いたのを見届けると、拍手を受けながらトレーディングフロアから退出し、応接室へ向かいます。

投資家への株式販売報告・株価の見通しを聞く

初値を見届けて、応接室に戻ると担当役員が待っており、祝辞を受けます。

そのまま、引受部門の担当者から、上場に際して投資家への株式販売報告を聞きます。
募集額に対してどのくらい需要があったかどんな投資家にどのくらいの配分をしたか、それによって、今後の株価推移はどうなると思うかなどの説明です。
とはいえこの点については、上場プロセスの中で十分に話してあっているので、おさらい程度です。
基本的には、おめでたい席になるので、特に議論はせず軽くお話しする感じです。

ここまで大体11時くらいになっていますので、少し早いですが経営陣と証券会社関係者でランチに向かいます。

ランチは、ホテルや料亭、少しかしこまったレストランなどです。
1時間から1時間半程度で食べ終わります。

東証で上場セレモニーを行う

午後からは、東証に向かいます

東証に入ると、まず上階にある応接室に通され、東証関係者と名刺交換を行います。
ここは中々入れない応接室なので、上場会社になったんだなという気分に浸れる瞬間だと思います。
長い廊下のような造りの部屋で、廊下の端と端くらいところに椅子があり、対面して座ります。
このような感じです。
(ネット上の写真を使わせて貰いました。)
「東証応接」の画像検索結果
東証関係者との挨拶のあとは、いよいよ上場セレモニーです。
東証アローズの前に式典スペースがあり、ここで行います。
式典スペースへは、エスカレーターを降りて向かいますが、先に待っていたスタッフや主幹事証券会社、そして自社社員が拍手をしながら待っています。
式典には社員も同席ができるのです。
テレビなどでも放映されることもありますし、東証に見学に行くとたまにやっていますが、ここで記念の盾の授与があり、写真撮影を行います。
写真撮影は社長が記念品を受け取る画を取った後、集合写真を数枚撮影します。
その後は、自由に撮る時間が少しあります。
ここでは、社員同士でフリーに撮っていることが多いように思います。
会社のカラーにもよりますが、部署やチームごと、若手、女子社員、仲いい数名などワイワイやっている印象です。
式典の後は、これも名物の打鐘を行います。

鐘は式典スペースの丁度反対側にあり、見学者も通れるアローズ横の普通の廊下を歩いていきます。

鐘の部屋は普段から見られますが、入り口に鍵がしまっているのでこの時だけオープンします。
社長と幹部数名くらいが交代で鐘を鳴らし、周りで関係者が拍手しています。

市況番組「ストックボイス」出演と取材

一連の上場セレモニーを終えるとテレビ番組出演取材対応です。
セレモニーの後は社員は帰り、社長と幹部だけが残ります。
東証で午後に「ストックボイス」という番組をやっていますが、その日の上場会社ということで社長が出演して会社紹介を行います。
これは、株をやってる人でないと知らない番組かと思います。
東証アローズを背にしたスタジオで、その日の株価解説やゲストによる銘柄分析などを放送しています。
そのコーナーのひとつとして新規上場会社の自社紹介があります。
大体は社長がひとり出演して、司会とやりとりしながら簡単な説明をします。
これが終わると、最後の仕事。
東証内にある記者クラブ「兜クラブ」にて、取材対応です
記者詰所に隣接する取材エリアで、集まった記者を相手にインタビューを受けます。
取材ののち、東証を後にします。
当日の夜は、主幹事証券会社との会食がセットされていることがほとんどです。
社長、経営陣と証券会社担当役員、部長席で祝いの席があり、一日が終わります。

上場セレモニーの全体像まとめ

  • 社長、経営陣は主幹事証券会社トレーディングフロアで初値が付くのを見届ける
  • 初値を見届けた後、株式販売報告や株価見通し説明を受ける。そのままランチへ向かう
  • 午後から東証にて上場セレモニー。東証関係者との名刺交換のあと式典、打鐘、テレビ出演、取材対応を行う。当日は主幹事証券会社と会食を行うことが多い

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