取引所外での株式売買「ダークプール」を解説

株式投資

株式取引の方法としてザラバ以外での取引以外に「ダークプール」と呼ばれるものがある。
主に機関投資家に使われることが多いものだ。
その内容について説明したい。

ダークプールとは

ダークプールとは、各証券会社が自社で受けた注文を整理して、その中で同一銘柄の売りと買いを約定させる仕組みである。
何のことか、よく分からないと思われるが、証券会社が自社で市場を運営しているとイメージして貰えればと思う。

証券会社は、多くの投資家から委託注文を受けており、たとえばA証券にB銘柄に売り注文を出す投資家もいれば、買い注文を出す投資家もいる。これを一定数集約するとA証券の中にB銘柄の板ができあがる。A証券内に出来上がったこの板を使って、マッチングさせていくのがダークプールである。

この板は、取引所注文のように投資家が直接みることができないため、
利用する際には証券会社の担当者と口頭で情報交換する必要がある。

下記にも簡単な説明があるのでご参考。
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/ta/A02128.html

ダークプールを利用するメリット

ダークプールは基本的に機関投資家が利用している。

利用するメリットとしては、大口注文を執行する際に取引意図が探られにくいこと、有利な価格で約定できる可能性があること、取引所外でも売買が進められることである。

機関投資家は大口注文を執行することが多々あるが、取引所市場で発注するとご存じのように板が見える為、単純な例だと特定の指値をすれば売りまたは買いのボリューム、意図が見えてしまう。
一度、希望通りに指値を出してそのまま置いておくことはしないが、それでも株価が特定の水準まで上下したときに板が多く喰われているとなると、大きな売りまたは買いを執行しようとしていると勘づかれてしまう。

誰が売り買いしているのかまで明かされないが、それでも株主をチェックすればおおよそどの投資家が売りにきているか見当がつく。買いの場合は、誰が買っているかまでは大量保有報告書がでないと分かりにくいが、それでも買い集めている勢力の存在は気にされることになる。
ちなみに株主情報は、四季報等では上位10人までで、保管(信託)銀行名義になっているが、金融情報端末を使えば、少数株主や保管銀行の裏に隠れた名前も確認することが可能だ。

ダークプールを利用した場合、板が公開されないため、板状況や歩み値の動向から探られることがない。

価格面について、ダークプールは呼び値の刻みが細かいこと、仲値で約定が可能といった特性がある。
取引所では、呼び値の単位は株価水準毎に決まっている。また、近年は一部銘柄で、1円未満が1桁目まで計算されるようになったが、ダークプールの場合は、呼び値を細かく設定することができ、1円未満も2桁目以降まで出すことが可能だ。証券会社毎の塩梅で加減ができる。

板が刻めるほどに細かく妥協点を探ることができ、約定に近づく。
また、最良売り気配と最良買い気配の間を取りにいくことも可能だ。
例えば、板が売り501円/500買いのとき、取引所ではそれぞれ対当気配値が最良の約定になるが、ダークプールの場合は、500.5円での約定も可能であり、買い方は0.5円有利な価格で約定が取れる。売り手側としてもすぐに約定が取りたい場合、取引所では500円までの妥協が必要となるが0.5円分妥協幅が少なくて済む。501円まで待っていることで約定機会を逃すこともあるので、仲値を利用できることで執行の効率が高まる。

投資家は、取引所に加えて、ダークプールも併用して発注をこなしていくことになり、複数の市場で取引できる分だけ約定機会が増加する。取引所1本ではなくて、追加的に流動性が確保できる。

ダークプールを運営している証券会社

東証公表資料によると、ダークプールを提供している証券会社は、2013年以降は19社~20社程度とのことだ。また、金融庁は2016年時点で18社ほどと認識している。
証券会社が特段届出を出して運営しているわけではないので、正確な数が把握できていない。

また、実際に継続して稼働しているダークプールは12社程度のようである。
2013年1月~2016年12月までの間で、毎月取引が行われたのが12社であり、その他は商いが途切れ途切れになっているか、辞める会社と始める会社があって入れ替わっているのだろう。

稼働している12社は公表されていないが、日系証券大手5社と準大手2-3社は提供しているものと思われ、4-5社が外資系と思われる。

ダークプールとPTS(Proprietary trading Systems)の違い

PTSは、証券会社が運営する株式市場で、時間等を除き、取引所とほぼ同じように取引する。
ダークプールも殆ど同じに見えるが、PTSの場合はそこで約定を完了させてしまうのに対して、ダークプールの場合は、実は約定をさせていない。

ダークプールは、注文を対当させるところまで終えた段階で、それをクロス取引としてToSTNet等の立会外市場に発注する。つまり、ダークプールでは、対当するペアを作り仮約定を行うイメージで、形式的な約定は立会外市場で行う。あくまで取引所売買ではなく、立会外取引という位置づけだ。

PTS=私設取引所、ダークプール=立会外取引となる。

立会外取引をみていると、細かい取引が無数に成立しているが、ダークプールのものが相応にあるものと思われる。

ちなみにPTSを運営しているのは、SBIジャパンネクスト証券とチャイエックス・ジャパンの2社である。(2017年時点)

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