IPO公募割れリスクを回避。ファンド売出しIPOは危険

株式投資

個人投資家に人気のIPO。
IPOは儲けやすいものと広く認知されていますし、案件をよく見ずに申し込んでも初値で高値売却できることも多いです。

しかし、中には買ってはいけないIPOが存在します。
配分を得るのが大変なのにチャンスを逃したくないと思うでしょうが、損しては元も子もありません。

特に、ファンド売出しのIPOは危険ですので、慎重になってください。

IPOが欲しくて前のめりの人ほど注意してください。。

ファンドIPO案件は公募割れに要注意

売出し人がファンドのIPO

ファンドが大株主、売出し人になっている案件に気をつけてください。

ここでいうファンドというのは、プライベートエクイティファンド(PEファンド)を指します。
IPO申し込みを検討する際には、売出し人を要チェックしてください。
PEファンドは、ある会社を買収して数年後にそれを売却して儲けることを生業としています。
高く売るほどに利益が大きくなるので、IPOで株式を売り出してくる際には注意が必要です。

日本で活動する代表的なPEファンドには下記のような会社があります。

□代表的なプライベートエクイティファンド
  • カーライル
  • ベインキャピタル
  • ポラリス・キャピタル・グループ
  • アドバンテッジ・パートナーズ
  • インテグラル
  • ユニゾン・キャピタル
  • ペルミラ・アドバイザーズ
  • ティーキャピタルパートナーズ
  • 日本産業パートナーズ
  • 丸の内キャピタル

意外と一般に知られた会社であってもこれらPEファンドが株主になっていることもしばしばあります。
特に一度経営が苦しくなった会社に多いです。

有名どころだと、ベインキャピタルが株主であったすかいらーく、ペルミラ・アドバイザーズが株主だったスシローグローバルホールディングス(現 Food & Life Companies)、MBKパートナーズが株主だったコメダ珈琲などがあります。

ファンドIPO案件が公募割れリスクが高い理由

PEファンドは、ある会社を買収し、数年後にそれを売り抜けて利益を獲得します。
売却する方法は、基本的に二つあります。

  1. IPOで株式市場で売却する
  2. M&Aで他社に売却する

どちらの手法を採るにせよ、PEファンドにはアグレッシブな利益目標があり、その達成を目指します。
そして、より儲けが大きくなりやすいのがIPOです。
M&Aは相手方から詳細な調査の上、値踏みをされますし、タイトな価格交渉が入ります。

対してIPOは、機関投資家を相手にした値決めのプロセス(詳しくはこちら参照)はありますが、売出し分の大半を個人投資家に振り向けることが多く、少々割高でも販売できてしまいます。

また、IPOの引受証券会社を選定する際にはコンペを行い、当然ながら高い売出し価格を提案した証券会社が有利になります。

IPOが上昇しやすい大きな理由に、IPOディスカウントというものがあり、適正と想定される株価から一定率をディスカウントして販売します。

【IPOディスカウント】
新規上場会社は既存の上場会社と比べて市場に情報が行き渡っていないため、投資家は評価が難しい。 その分、同業種の上場企業よりも公募価格を割安に設定して需要喚起を図る。 また、相応の数量を売却するにあたり、ディスカウントすることで販売を円滑にする。

売出し人が創業者や社長など会社関係者の場合には、上場後の株価形成への意識も強く、投資家にいいイメージを持って欲しいと考えるので、ディスカウントをしっかりと確保するケースが多いです。

しかし、PEファンドにとってはIPOは出口です。
できるだけ高い株価で全部に近い株式を販売したい。インセンティブはこれに尽きます。

初値が大きく上昇した場合には、「もっと高い公募価格で売れたのではないか」と主幹事証券会社に詰め寄ることもあるとか、ないとか・・・。

PEファンドの売出し案件は、それだけ利害関係がはっきりと偏っているのです。
そのため、いい銘柄であっても割高な価格が設定されています。

ファンドIPO案件はここで見分ける

ファンドIPO案件であるかをチェックするには、売出し人、株主をチェックしてください。
その際の注意点として、株主名義に注意をしてほしいです。

IPOの際の売出し人や既存株主の記載欄には、上述のような正規の会社名では載っていません。
PEファンドは、ひとつ一つの案件ごとに(形式上の)別法人を介して投資を実行します。
IPOの概要や目論見書には、その別法人の名前で記載されます。

  • ○○投資事業有限責任組合
  • ○○ファンド L.P.
  • ○○キャピタルLtd.
  • ○○1号、2号・・・。Ⅰ、ⅡFund・・・
  • その他、ファンドの頭文字、対象銘柄の頭文字を組み合わせたような社名

とこのような名義になっていることが多いです。
聞きなれない横文字や投資・・ファンド・・などとついていれば注意が必要です。
IPO段階の会社であれば、機関投資家が入っていることはまずないので、変わった名前は運用会社ではなくこのようなPEファンドやベンチャーキャピタルの可能性が高いです。

ただ、東京中小企業投資育成、大阪中央企業育成、地域金融機関関連のファンドなどは別物で、これらはすぐに売り抜けることを企図しているわけではないのでまず大丈夫です。

これファンドIPOかなと思ったら、最近では検索ですぐに出てくることも多いです。
売出し人、株主の名前に気をつけて、アレっと思えるようにしておきましょう。

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