株価の変動要因。基本型を頭に入れると推測できる。実践的に解説

株式投資

「今日は、なんで株価上がっているんですか?」
何万回とこの質問を受けてきました。

その度に、どうやって答えを伝えてきたか・・・考えられるいくつかのパターンから推測するんです。
どんな名医も100%病状を割り出すことはできません。
だけど大枠の答えを出せるのは、型を身に付けた上で、推測を働かせているからなんです。
考えることの繰り返しがいつしか勘になり、相場を説明できるようになってきます。

これが相場を理解する技であり、ひいては株を当てるということにつながってきます。

そして、この株価変動の基本型
個人投資家も、考えるときのフォーマットにして欲しいです。
確実に自分の株力をアップさせてくれます。

外部環境による株価変動要因

まずは外部環境による要因です。
如何なる企業も外部環境の変化⇒ビジネスに影響⇒業績が変化というプロセスからは逃れられません。
これを想像し、先回りして動くのが株式市場という生き物です。

経済政策・政治動向

経済政策や政治は非常に重要。毎日チェックしておきたいところです。
意識して見るポイントは、どんな業界に影響がでるか?です。
政策によって、吉となる業界、凶となる業界が分かれます。

例えば、2020年には菅総理が携帯電話料金引き下げを掲げて、既存大手通信業者には強烈な逆風となった一方で、新規参入組には絶好の追い風となりました。

少し振り返るだけでも、東京オリンピック、大阪万博、5G普及推進、リニア新幹線、震災復興、カジノ等々、社会全体の行く道決める政策には関連銘柄の業績がついてきました。

税制改正医療保険制度改定など頻度が高い政策もあり、都度関連業界は揺れ動くところです。

国際政治おいても米大統領の方針、通商交渉、軍事対立など、あらゆるものが経済に関わり、その影響を先回りして動くのが株式市場です。

世の中の流行

大きな流行から小さな流行までありますが、これは意識しやすいです。
株価も関連銘柄が敏感に反応するので、好きなもの得意な分野で先回りする意識を持ちましょう。

鬼滅の刃がヒットしたとあれば配信元はもちろん、関連商品まで影響が及びますし、ウマ娘が快走すれば親グループサイバーエージェント株価にもムチが入ります。

コロナ禍の巣ごもり消費もそうですね。
中食需要でスーパー・コンビニが好調、巣ごもり美容で美顔器が売れ、通販も大盛り上がり。
また、リモートワークでPC関連製品が品切れ→電子部品・半導体需要増加→半導体製造装置受注好調という感じで深掘っていくと、より構造的に市場や経済が見えてきます。

世の中のトレンドは、株式市場へも大きく影響します。

金利

金利は経済の調整弁です。
経済の血液であるお金の流れをコントロールする心臓の役割を担います。

シンプルな例だと下記のような経路で景気に効いてきます。

・金利上昇→企業の借入減少→企業活動・設備投資停滞→景気鈍化
・金利低下→企業の借入増加→企業活動・設備投資活況→景気上昇

すごく単純な言い方をすると、金利は中央銀行がコントロールします。
日本であれば日銀、アメリカであればFRB、ヨーロッパはECBです。

中央銀行が利上げ・利下げに動くのか、自然な金利上昇・低下を許容するのか・・・これを予想して株価が動いていきます。
中央銀行が目指すべき金利水準を決めてからではなく、決めそうかどうかの様子を常に観察しながら株価は居所を探っていきます。

毎日の金利水準と将来の金利の方向性、両方を観察していくことが大切です。

為替

為替は、輸出入企業への業績に敏感に影響します。

輸出企業にとっては、円安になれば日本製品が海外で売れやすく、円高になれば売れ行きは鈍化します。逆に輸入企業にとっては、円安時は海外からの仕入れ値が上がり、円高だとコストが安くなります。

円安→輸出企業〇、輸入企業×
円高→輸出企業×、輸入企業〇

日本は輸出企業が多いので、円安は日本企業の多くにポジティブ、円高はネガティブとなります。
但し、リーマンショック以降、日本企業は為替に影響されにくい体質に変化を遂げてきましたので、年々為替の影響力が薄くなっていることは頭に入れておきましょう。
とはいってもまだまだ効きますが、シンプルに為替と株価を連動して考え過ぎると実戦では上手くいかない可能性があります。

海外市場

海外金融市場も本邦マーケットに影響します。
NYダウと日経平均が同じ方向に動く傾向は、一般にもよく知られています。

経済、金融市場はグローバルでつながっています。
海外の景気動向が貿易、商取引を通じて、日本企業にも影響を及ぼします。
世界同時株高、株安となることも多いですし、特に先進国の経済の方向性は他の国に大きな影響を与えます。

また、お金そのものが、金利水準や景気の方向性に影響されてグローバルで行き来を繰り返し、自然に国際間での水準調整がなされます。

ファンダメンタルズ(個別銘柄の中身)による株価変動要因

株価形成に最も影響するのは、やはり企業の見通しそのものです。
それを予想する変数として、上記の外部環境がありました。

企業業績

企業業績が良くなるか、悪くなるか。やはり業績が一番重要
あらゆる予想を働かせるのは、すべては企業業績に先回りするためです。
個別銘柄の株価は、急な変動があったとしても、基本的には企業業績に応じた水準に落ち着きます。
そうでないと一生懸命研究するのもアホらしい、アナリストなんかいらんということになります。

気を付けて欲しいのは、今の業績ではなく、概ね半年から1年先の業績予想を基準にしながら株価が動くということです。アナリストのレーティングも12ヶ月先業績予想を基にしています。
予想可能な近未来の見通しに応じて、株価は居所を決めていきます。

また、業種や銘柄によって、予想しやすさは異なりますので、それによってどのくらい先を織り込むかが変わってきます。

これを見える化したものが、コンセンサスと呼ばれるモノサシです。
少しだけ内容がレベルアップしますが、こちらの記事で解説しています。
コンセンサスとは?株式市場の目線!意味と使いかた

個別銘柄の将来性

企業業績に近いですが、将来の成長性も大きなポイントです。

現時点では、規模が小さかったり、赤字だとしても将来に向けた種まき段階であったり、数年後の社会において不可欠な技術を有していたり、何らか期待をさせるものがあれば、青田買い的に将来を織り込んだ株価が形成されます。

予測するのは、非常に難しいです。

財務状況

どんなに急成長中の銘柄であっても財務に不安があると投資家から敬遠される原因になります。
単純に言ってしまえば、いい会社でも潰れてしまえば元も子もないです。

急に倒産するまでのことはなくとも、財務基盤を強化するために増資が行われる懸念があります。
増資をすると株数が増えますので、一株当たりの価値は薄められて株価下落を生じます。
投資家にとっては恐怖です。

また、財務が脆弱な会社は、配当を出す余力がなく魅力に欠けます

需給による株価変動要因

株は難しそうでシンプルなものです。
買いたい人が多ければ上がり、売りたい人が多ければ下がります。
多くのモノと同じで需給に左右されます。

外部環境や業績などはもちろんですが、信用取引の残高に影響されやすいです。
信用取引の買いが多ければ将来的な売り圧力になりますし、空売りが多ければ将来的な買い戻しが想定されます。

また、期日が決まっている信用取引はそれに向けて反対売買が発生しやすいですし、空売りに用いる貸株コストも日々変化します。
これらの事情で、企業業績等に関わらず需給バランスは変化していきます。

信用取引の残高が、出来高に比べて大きい場合や売り又は買いどちらかに偏っている場合は注意が必要です。

株式市場の物色動向

ショッピングに流行り廃りがあるように、株式市場にもその時にもてはやされる銘柄群があります。

成長株がよく変われる相場、割安株が人気の相場、高配当利回り株が狙われる相場という具合に、銘柄のカラーによって物色動向が出てきます。

景気、金利動向や季節性等も絡み合って、物色のトレンドをつくります。
トレンドにのってボロ株が上昇することもあれば、良い銘柄が無視されていることもあります。

トレンドに乗っかるのか、逆張りするのか、左右されずに自分のスタンスを貫くのか、正解はありません。得意なパターンで攻めましょう。

風が吹けば桶屋が儲かるを常に意識

株価は、様々な要因が重なりあって、形成されていきます。
上記に挙げてきた要因ひとつで動くこともあれば、二つ三つが複合的に作用している場合もあります。

ひとつの事象が起こると、連想、連想であらゆる銘柄が動いていきます。
あれがこうなればこうだろうというように、自分なりに仮説、検証をしていくことが大切です。
何かの事象を目にした時に常に「風が吹けば桶屋が儲かる」カゼオケの意識を持って、想像を働かせていきましょう。

どういう理由で今の株価が形成されているか、近い将来はどうなるかを考えることが株力を高めていきます。

あわせて読みたい>>>「株の銘柄の探し方。初心者のうちから王道手法を身につけよう

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