「ピーター・リンチの株で勝つ」は株式投資のバイブルだ。
株式投資のおすすめ本というと山ほどあるように感じる。
初心者におすすめのやさしい本、上級者向けの凝った内容の本、学術的な本など沢山あるが、誰にでも読みやすく且つ指針となりつづけるような1冊があるだろうか。
「ピーター・リンチの株で勝つ」は初心者には「いろは」をストレスなく飲み込ませ、上級者には道を示し続ける珠玉の1冊である。
いかなる時代においても変わらない原則が分かりやすく過不足なく詰まった不朽の名作だ。
一般的な書に例えるなら孫子の兵法とか七つの習慣のような位置づけにある。
その根幹となる部分を紹介させていただければと思う。
理解できない株には投資しない
まずは、非常にシンプルだが理解できない銘柄には手を出さないことだ。
当然、誰にでも守れる。
しかし、多くの人は家を買う時や家電を買う時はよく調べるが、株を買う時はほとんど調べないまま買ってしまう。
今の日本の個人投資家でもこうした人が多いのではないだろうか。
初心者であっても自分が関心ある分野の銘柄をマークしておくことはできるだろう。
勤務先の業種、よく買い物に行く店、利用したことのある各種サービス等々・・・考えてみれば結構ある。
経営者なら自社が属する業種や周辺業種には詳しいだろうし、既に引退した高齢者や主婦、或いは学生であったとしても意識してみれば意外と身近にあるものだ。
スーパーに並んでいる商品、流行りの飲食店、フリマアプリ等々まずは何でもいい。
自分が思い入れがあって良く見ているものがとっつきやすい。
業績と株価、ニュースをよく見ておくことだ。
財務的な分析などは難しいだろうから、担当金融マンにフォローして貰ってもいいが、自分でも意識を持って日々追いかけていくことだ。
そうして暫く情報収集や株価、ニュースを観察した後で投資を考えるのだ。
面倒くさいかも知れないがやってみると意外に楽しい。世界が広がる。
株のステージを認識。それにマッチした投資戦略をとる
投資対象銘柄がどのステージにあるかを認識し、それに応じた投資戦略をとることが必要だ。
人間に例えると、生まれたてのよちよち歩きの段階なのか、成長期、成熟期、老年期と移り変わっていくが会社にも同じことが言える。
また、その時々ごとの調子もあるし、外部環境も変わる。
優等生が急にグレることもあれば、その逆もある。
ポイントは今はどのステージにあるかを意識することだ。
昨年のトヨタと今のトヨタ、1年後のトヨタは別物であると認識して欲しい。
ピーター・リンチは、低成長株、優良株、急成長株、市況関連株、業績回復株、資産株の6つに分類している。
それぞれ期待収益は、2-4%、10-20%、10倍-20倍、タイミングで大きく変動、5-30倍程度、10-20%程度のイメージ(文面からの解釈含む)。
いくつか解説をすると、
優良株はブルーチップ、安定成長が見込める銘柄といった位置づけ。
それだけに皆が見ていて株価の織り込みも早いだろうし相場全体の影響も受ける。
10-20%程度値上がり益が取れれば十分だろう。
急成長株は株価上昇も早いので自分が買った時点ではなく、上昇を始めた時点から最大10倍くらいの感覚を持つといい。
業績回復株はその度合やタイミングよって大きく変わるが個人的には2-3倍の感覚がある。
資産株は、成長期待は乏しいがその分業績は安定している。成長投資も少なくて済むので安定的に高配当も見込める。値上がり益だけでなく配当収入も合わせて考える。放置されている安いところで拾いたい。
投資を検討する銘柄がどのステージにあてまるか考えておくと目安ができる。
株式投資で勝てる投資家の特徴。13の狙い目を意識
ピーターリンチは、初心者だろうとプロであろうと常に意識しておきたいポイントを挙げてくれている。
以下、投資対象の選別において重要な13の着眼点だ。
- 面白味のない、または馬鹿げている会社
- 変わり映えのしない業容
- 感心しない業種
- 分離独立した会社
- 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
- 悪い噂の出ている会社
- 気の滅入る会社
- 無成長産業であること
- ニッチ産業であること
- 買い続けねばならない商品
- テクノロジーを使う側であること
- インサイダーたちが買う株
- 自社株買い戻し
違和感を感じる項目もあるかもしれないが、特にスポットライトの当たっていない株を発掘する観点、バリュー投資の観点として覚えておきたい視点だ。
これらの項目をまとめると“地味で魅力に気付かれていない銘柄を探せ”ということだ。つまらなくて無視されているけど実はいい会社や思ってたよりマシな会社は沢山ある。なにより少し人と違う方向を向いているのが勝てる投資家の特徴だ。
相場格言でいうと“麦わら帽子は冬に変え”、“人の行く裏に道あり花の山”といったところだ。
例えば、地味でつまらない社名(○○工業、製作所、商会・・・)で業種も今をときめくIT関係やらとは程遠い昔ながらの製造業など。
時価総額も小さくアナリストレポートなんて当然ない、説明会も少人数、だけど実はニッチ業種のトッププレーヤーで圧倒的シェア、産業にとってコアな会社で価格交渉力が強く利益率も高いというような会社を探すことが重要だと説いている。また、ウォーレン・バフェット氏もこれに近い考え方を持っている。
バフェット氏は上記13項目でいえば、(ユーザーが)買い続けねばならない商品や加えてROEが高い(収益性の高さや資本効率の良さを示す)ことを重視しているように思う。
「ピーター・リンチの株で勝つ」のポイントまとめ
- 理解できない株には投資しない。自分が関心がある、よく知る分野の銘柄をマークする。そうした株の株価、業績、ニュースなどを追いかけておく。
- 株のステージを認識し、それにマッチした投資戦略をとる。株はそのステージによって、低成長株、優良株、急成長株、市況関連株、業績回復株、資産株などに分けられる。ステージによって狙うリターンや投資スタンスが異なる。
- スポットライトの当たっていない銘柄にこそチャンスがある。多くの人が魅力に気付いていない隠れた優良株を狙う。そのための13項目の視点を意識する。
「ピーターリンチの株で勝つ」はプロ投資家、市場関係者でも書棚に並べている人が多い。
初心者からプロまで常に意識しておきたい変わらない原則が詰まったバイブルである。
本気で投資を勉強したい人は、すぐに取り寄せて読むことをお勧めします。
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