株式のテクニカル分析、チャート分析にはたくさんの指標があります。
ポピュラーなものから少しマニアックなものまで・・・全部覚えてたら大変ですし、役に立つのか微妙なところです。
この記事では、「テクニカル指標を全部覚えてられない。結局どれ見たらいいねん!」という声に応えます。
そもそも「売りか買いか」を見極めるためにテクニカル指標を見ているのに、
ある指標では買いだけど、別の指標では売りなんてこともありますし、組み合わせを間違えると余計に迷うことになります。
ファンダメンタルズ分析や指標同士のバランスが取れ、迷路に迷うことのないよう、
最もベーシックで、意味が説明でき、これだけおさえれば十分という指標に絞って伝えます。
10年以上、株式市場と関わってきた中で、機関投資家のファンドマネージャーもおさえているポイントです。余談ですが、機関投資家はテクニカル分析は最低限でマニアックなチャート分析は好みません。
目次
おさえるべきテクニカル指標4つ
テクニカル分析の指標は、数多くありますが必ずおさえて欲しい4指標を紹介します。
これを知っているか知らないかの差は非常に大きいですが、これ以上に沢山知っているか否かはさほど重要ではありません。
必須かつ充分な4指標です。
「4つの指標の役割」は以下の通りです。
- 個別銘柄をみる指標
- トレンド系(株価の方向感をみる)
- ローソク足
- 移動平均線
- 5日移動平均線
- 25日移動平均線
- 200日移動平均線
- オシレーター系(売られ過ぎ、買われ過ぎをみる)
- 移動平均線乖離率
- トレンド系(株価の方向感をみる)
- マーケット全体をみる指標
- 騰落レシオ
ローソク足
株価チャートを見る上で、ローソク足が基本になります。
足の1本1本に情報が凝縮されている優れものなので、必ず覚えておきましょう。
ローソク足が読めることがチャートをみるスタート地点です。
見方は簡単です。下記の図をみてください。
始値より終値が上がった日は陽線(白抜き)、
逆に始値より終値が下がった日は陰線(黒塗り)を使います。
陽線の場合は、始値が本線の一番下、終値が一番上です。
上にちょんと引いてある線は上ヒゲで高値、同じく下にちょんとあるのが下ヒゲでその日の安値です。
一本に取引情報が凝縮され、株価の見える化が容易になります。
シンプルイズベストとはこのこと・・よくできています。
- 1日の値動きを1本とするものが日足(ひあし)
- 1週間の値動きを1本とするものが週足(しゅうあし)
- 1ヶ月の値動きを1本とするものが月足(つきあし)
といいます。
1本で色々な読み解きができて、
例えば下ヒゲが長ければ日中大きく下がったが値を戻してきた(安値圏では買いが入る)、
ローソクの幅が狭ければ株価に方向感がなく材料不足、
長い陰線を引けば売り一辺倒(悲観的)、などなど・・・。
株価の位置どころと組み合わせて見ていきます。
ローソク足が毎日連なってチャートになっていくので、これだけでもかなりの情報量が詰まっているわけです。
シンプルだけど、ローソク足の1本1本やその繋がりが何を伝えてくれているかを考えていきましょう。
これだけでも株価の意味がかなり見えてくるはずです。
ちなみにこれは日本発祥で世界に広まった技法。
我々の祖先は凄いです。
移動平均線
つぎに移動平均線です。相場の方向性を掴むのに使います。
移動平均線とは、一定期間の株価の動きを平均して線形で表示していくものです。
平均する期間が対象期間分(日、週)毎日スライドしていき、その期間の値動きをホットな状態を残しながら均します。
他サイトで、よくまとまった解説があるので以下も引用します。
【移動平均線】
移動平均線とは、ある一定期間の価格から平均値を計算し、折れ線グラフで表したものです。その日を含めた過去何日間(または何週間)かの価格を毎日計算するため、平均値が移動していくことから、移動平均と呼ばれます。
代表的なテクニカルチャートのひとつで、価格の傾向や流れなど、相場の方向性を見る手掛かりとなります。現状の株価や為替などの価格を表すローソク足と組み合わせて、売買のタイミングを計るときに使われます。ただし、過去何日間(または何週間)の平均を取っているので、実際の価格の動きよりも遅くなります。
また移動平均線は、MACDやボリンジャーバンドなど、他のテクニカルチャートにも応用して利用されています。
SMBC日興証券ウェブサイト 初めてでもわかりやすい用語集 より引用
実際のチャートでは、前述のローソク足と組み合わせた形で並んできます。
移動平均線は、それぞれの期間のおおよその売買コストを表しています。
活用法としては、株価が移動平均線より上方にあるのか、下方にあるのか、線をまたいだかなどを頼りにすることが多いです。
例えば、株価が上がってきて、移動平均線に迫ったところでずっと超えられないようなら、そこで買っていた人が多くて戻り待ちの売りに頭を抑えられている可能性があります。
また、逆に株価が下がってきて、移動平均線で下げ止まったとすれば、損切りしてまで売りたくない人が多く、一旦売りが止んだ可能性が考えられます。
これをローソク足の動きとも合わせながら、マーケットの声を聞いていくわけです。
また、移動平均線は期間が諸々ありますが、代表的な3本を紹介しておきます。
株式投資をやっていくうちに各々相性のいい期間ができたりしますが、この3本は使いやすいです。
- 5日移動平均線:5日すなわち1週間分の営業日に相当。週ごとの短期トレンドを確認。
- 25日移動平均線:約1ヶ月のトレンド。正確には1ヶ月は20営業日前後だが伝統的に25日を使う。
- 200日移動平均線:1年間には少し足りないが落ち着いた方向性として、昔から重宝される期間。
語り出すとキリがないですが、基本はこのあたりです。
どうですか?
ローソク足と移動平均線だけでも、株の世界が随分浮き上がって見えてきませんか?
移動平均乖離率
株価が移動平均線からどれだけ離れているかを測ります。
移動平均線は、その期間のおおよその売買コストなので、株価が一定期間そこから大きく離れていると定位置からズレていないかという見方をします。
株価の居所が変わったことを示す確りした材料でもなければ、一時的な需給の歪みの可能性が疑われます。
歪んだ需給は修正され、株価は移動平均線に近づくことが想定されます。
その為、移動平均線からの乖離が大きい銘柄にはトレードチャンス、リスクがあるのです。
乖離幅の目安としては、
- 5日移動平均線:乖離率10%
- 25日移動平均線:乖離率15-20%
程度離れてくると、移動平均線へ回帰する動きが考えられます。
売買を考えている銘柄がこれだけ乖離しているようなら要注意とも言えますし、
逆に移動平均乖離率がこれだけある銘柄をリストアップして、買いや空売りを仕掛けるという戦略もあります。
騰落レシオ
マーケット全体の過熱感を測ります。
市場全体の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、マーケットの体温を測定します。
値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数
です。
一般的に、これを25日移動平均で計算していきます。
値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じなら100%となり、ここが中立です。
値上がり銘柄数が多く120%以上が買われ過ぎ。過熱感が指摘されます。
値下がり銘柄数が多く70%以下は売られ過ぎ。底を打って平熱へ戻ってくることが期待されます。
上下でやや目安となる比率が異なりますが、先人の知恵で言われているところです。
株の世界では、こういった経験則や相場師達の勘所からきたような目印がちょこちょこあります。
騰落レシオは、東証一部の25日移動平均値を見るのが基本です。
日経新聞マーケット欄にも載っています。
その時々の株価と併せてみてください。
テクニカル分析はファンダメンタルズ分析との組み合わせで威力を発揮する
テクニカル分析は、単体ではなく、ファンダメンタルズ分析と組み合わせて活用します。
テクニカル分析の位置づけ
株価のベースとなってくるのは、業績や成長性などのファンダメンタルズです。
ファンダメンタルズで軸となる方向性を見極めたあとで、テクニカルの観点からも確認をとります。
株価は業績等が柱となって形成されていきますが、毎日毎日ファンダメンタルズと等価のピッタリした値付けがされている訳ではありません。
大きな方向性ではファンダメンタルズに回帰するが、市場参加者の動静やマーケットのセンチメントなどもあって、割高、割安どちらかの方向に傾いています。
それがファンダメンタルズで説明できるレンジ内の場合もあれば、それよりも乖離幅が大きい時もあります。
いずれにせよ、その時々の株価が振れている方向や程度を確認したほうがいいでしょう。
それを確認するのがテクニカル分析の役割です。
まずは土台になるファンダメンタルズで銘柄を選別し、その後でテクニカル面からもチェックを入れてゴーサインを出すという手順で判断しましょう。
株式投資の判断軸をピラミッドで表すと下記のような感じになります。
(但し、デイトレーダーの方にはそぐわない考え方でしょうし、テクニカル主体の方は悪意はないのでご容赦ください。)
テクニカル分析は意味あるのか
テクニカル分析って意味あるのか?
チャートは参考にザッとみるだけ、長期投資だから関係ない・・・という意見も少なからずあります。
しかし、やはり冷静に相場の声を聴くという意味で重宝する指標です。
前述したように、テクニカル単体では心もとないですが、ファンダメンタルズ分析との組み合わせによって力を発揮するものだと思います。
ファンダメンタルズが銘柄を選定してくる役回りだとすれば、テクニカルは相場の温度感や振れ具合を見極めて今いくべきかを判断するランナーコーチのような役割です。
如何に足の速いランナーだろうと、外野の守備位置が浅かったり、足元がぬかるんでいたりすればストップも必要でしょう。
株価が結局ファンダメンタルズに収斂するならいらなくないか・・・というのも超長期で損するかしないかという観点では分かります。
ただ、エントリータイミングを計ったほうが、時間ロスも少なく、確実性も高まりますよね。
せっかく見つけ出した収益機会の精度を高めるべく、違う視点から補佐してくれるのがテクニカル分析です。
テクニカル分析に役立つ本
酒田五法は風林火山 相場ケイ線道の極意
株価チャート、ローソク足の組み合わせからの株価予測技法がまとめられた一冊です。
どういう波形が出たときに、何が想定され、どう動くべきかなど、実践的に書かれています。
伝説の相場師のひとり、本間宗久が遺した「酒田戦法」といわれるケイ線(チャート)分析術をもとに著された本で、トレーダーなど市場関係者にもファンが多いです。
酒田というのは、米どころとして有名な山形県酒田市のことであり、本間宗久の故郷です。
大昔のコメ相場の時代に編み出された分析法であり、株式相場でも使われるようになったという訳です。日本流チャート分析の元祖みたいなものです。
読んでみると、チャートでそこまで考えられるか~と唸りますよ。
200ページほどでサクッと読めるますし、買って損はないです。
総合的に株の勉強をしたい人は、
「株式投資の勉強はこれを繰り返せ。難しい方法論より基本のサイクル化」で必要なことに絞って紹介しているので読んでみてください。
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