コロナ禍での個人投資家の株式売買動向とパフォーマンス。みんな買ってる?

株式投資

コロナ禍の中で、個人投資家の動きが盛り上がっています。

機関投資家がおっかなびっくりの中で個人投資家は元気です。
コロナを契機に、個人投資家の動きがどう変わったか整理してみたいと思います。

個人投資家が株を買ってきている

コロナ禍に前後して個人投資家の動きを見てみましょう。
まずは、コロナ前後の個人投資家の売買代金差額(東証、名証1、2部)を見てみます。
買いから売りを引いたものです。
東証から週次で発表されています。
現金、信用合算の数字です。
  • 2月第1週 -3,188億円
  • 2月第2週     580億円
  • 2月第3週     973億円
  • 2月第4週    3,164億円
  • 3月第1週 5,554億円
  • 3月第2週 1,708億円
  • 3月第3週 2,424億円
  • 3月第4週  -1,233億円
  • 4月第1週      255億円
  • 4月第2週 – 1,585億円
  • 4月第3週       -43億円
  • 4月第4週   1,867億円
  • 4月第5週        66億円
  • 5月第1週      171億円
日本取引所グループ公表データより引用
コロナ影響が本格化し始めた2月下旬からの買い越しが目立ちます。
上記の2月第1週から5月第1週までを合算すると、10,714億円の買い越しです。
1兆円超の買い越し。
個人投資家は逆バリの傾向が強いので、相場が一旦下がったところを拾う動きが2月後半でしょう。
ただ、その後マーケットがずぶずぶと沈んでいく中でもがっつり買い越してきています。
3月4週以降は勢いは衰えていますが、それでも買い基調。
また、これを裏付けるデータとしてもうひとつ。MRFの残高を示します。
MRF(マネーリザーブファンド)とは、証券口座を持ってる人はご存じでしょうが、証券会社の普通預金のようなもの。
何も買っていない資金をプールしておく場所です。
要するに待機資金です。
これの総額の動きを見ることで、個人投資家全体の売り買いの動きがみえてきます。
MRF残高

投資信託協会公表資料より作成

1ヶ月単位で発表され、直近では2020年3月までのデータが発表されています。
2月から3月でグッと減っています。
何が言いたいかというと、MRF=待機資金が減るということは、裏を返せば買い出動しているということ。
売買動向とも整合する動きですね。
もちろん、皆が株式だけでなく、投資信託を買った人もいるでしょう。
しかしながら、いずれにせよ積極化したことは見て取れます。

新規参入投資家も大幅に増加

また、既存の投資家だけでなく、新規参入の投資家もたくさんいます。
これが今回特徴的な動きですね。
きっかけはともあれ、投資家層の拡大に繋がればいいなと思います。
新規参入投資家の増加は、ネット証券の口座数に現れています。
言わずもがなネット証券はほぼ全て個人投資家ですからね。
こちらは、ネット証券最大手SBI証券の口座数の推移です。
SBI口座数

SBI証券の公表資料より作成

2019年3月の463万口座から2020年3月には542万口座までグイっと増えています。
伸びが急加速していますね。
新聞報道等でもいわれていますが、これはコロナウイルス影響でマーケットが下落したことで、好機とみた口座開設が増えたほか、在宅勤務の拡大によってトレードがしやすくなったことが大きいです。
ぶっちゃけサラリーマン投資家が会社だとやりにくいけど、家だと遠慮なくパソコンやスマホでトレードできるのが大きいです。
会社のルールで、勤務時間中は業務外のことができない会社も多いですが、在宅勤務が抜け道になったのでしょう。
日常が戻ったところで、取引しづらくなって休眠状態にならないことを祈ります。
現状のマーケットはこうした新規参入組に支えられた面もあるでしょうが、彼らが投資家として定着してくれるもかも、今後の相場にかかっている面もありますね。

株を買った個人投資家は儲かっているのか

では、コロナ禍で株を買った個人投資家は儲かっているのでしょうか。
もちろん銘柄やタイミングによるので一概にはいえませんが、全体の傾向をみてみましょう。
信用取引の動向から推測することができます。
信用倍率

日本取引所グループ公表データより作成

上記は信用取引の残高を集計したものです。
赤の買残に注目してください。
3月頭までは買い残規模が比較的大きかったですが、そこからは縮小しています。
ということは3月中旬以降では、手仕舞いが多かったり、買い出動が細かったりします。
推測するに3月中旬にバッと手仕舞いが入ってからは、あまり積極的には買っていないでしょうね。
冒頭ご紹介した売買動向は現物、信用の合算ですが、どちらかというと積極的なのは現物の買いでしょう。
信用取引の買いは通常よりもリスクが高くなりますので、こうした不安定な相場では仕掛けにくいことが感じられます。
その上で、儲かっているかを推測するデータを示します。
信用取引で買った投資家の損益を推測する、信用評価損益率です。
直近では信用取引買い残高の水準は
低下していますが、個人投資家の損益動向全体の俯瞰材料として参考にして貰えればと思います。
損益率

日本経済新聞社公表データより作成

2月から3月頭にかけてガクンと損益率が低下しています。
その後は盛り返す動き。
コロナ前からの建玉も含まれていますし、売却した分は反映されませんので、そこは差し引いて考えなくてはいけません。
しかしながら、コロナ禍の初期から買った人はやや苦しい雰囲気が伝わってきます。
底を打ってからは、ポートフォリオ全体が良化しているのも分かる。
3月中下旬からの仕掛けは上手くいってそうですね。
ただ、冒頭売買動向でもあるように、2月終わり、3月はじめの買い越し規模は大きいです。
そう考えると個人投資家全体は苦戦気味かなと思います。
繰り返しですが、コロナ前後での仕掛けだけでなく、それ以前の建玉を含めてのことです。
機関投資家もコロナ禍以降、動きが鈍いですが、以前からのポートフォリオの損益は芳しくないでしょうね。

コロナ禍の個人投資家売買動向まとめ

  • 既存の個人投資家はコロナ禍以降で大きく買いに動いていると推察される。
  • 新規参入の個人投資家も多い。
  • 個人投資家の損益状況は、全体としては苦戦気味と考えられる

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