企業不祥事後の株価推移を検証。神戸製鋼はどうなるか!?

株式投資

2017/10/8、神戸製鋼の品質データ改ざんが明らかになった。

生産するアルミ製部材について、顧客が求める品質基準を改ざんしていたという内容だ。

不祥事発覚後、初めての株式市場の営業日となった2017/10/10、神戸製鋼の株価は、21.9%下落し、ストップ安で取引を終えた。

寄付前から終日特別売り気配が続いた。

寄付前から報道や各社アナリストの見解などは、需要伸長が見込める自動車や航空機関連に納めていたこともあって、ネガティブ一色。

今回の部材の影響額では営業利益の5%以下との計算があるが、将来の需要拡大分野だけに実績以上にポテンシャルは大きかった。また、アルミ製部材で競合する(5741)UACJの株価は、代替需要の期待で2.9%高となった。

投資家としては、気になるのは今後の株価の動きだろう。
そこで不祥事銘柄の株価動向について検証してみた。

不祥事銘柄の株価推移は、根源の深さと事実関係判明の時期次第

下記に、不祥事銘柄をいくつかリストアップしてみた。


不祥事銘柄3

不祥事が公になった次の営業日の株価下落率は案件にもよるが、敢えて目安をとれば10%前後といったところか。
(オリンパスは当日9:30発表にウッドフォード氏解任発表の為、当日株価。ご存じの通り、彼は悪役に追い出された。。。)

翌営業日は、状況の判明度合によっても異なるので、下落度合には差がある。

今回の神戸製鋼の20%超の下落率は、株価位置の打点の高さを考慮しても、かなり大きいといえる。

ここから下値を探りにいくのだが、最安値を付けるまでの日数はかなり異なる(休日含む暦ベース)。

徐々に原因や対策が明らかになってくるため、底打ちに差が出てくるのだが、一番早く安値を付けたオリンパスのケースでも27日となっている。一番悪質なのだが分かり易かった為に下落も早かったか。。

事件次第ではあれど、少なくとも一ヶ月ちょっとは買ってはいけないといっていいだろう。

花王(カネボウ)の場合は、当初から善後策も打っており、大きな問題ではないと言われていたが、それでもズルズルと下げた経緯がある。やはり不祥事は小さくともアク抜けに時間がかかる。

調整の深さについても、最安値までの下落率は4案件平均で53%、花王を除く3案件では64%となるので、慌てて押し目を拾いにいかないよう用心したい。

少しづつ打診買い、ナンピンを繰り返しながら、タナをとっていくのがよさそうだ。

安値を付けた後は、アベノミクス相場に前後したこともあるが、不祥事前の株価を超えてきている。

東洋ゴムは不祥事前を下回っているが、それでも安値からは2.5倍超にまで戻っている。

また、今回このリストには東芝タカタを載せていないのでご注意いただきたい。

不祥事銘柄の回復をみにいくのが今回の趣旨なので載せなかったが、最も手を出してはいけないパターンである為、これらと性質が似ていないかには気を付けていただきたい。

東芝、タカタを含めて、最も注意してみるべき点は、根源の深さである。

東芝が典型的な例だが、経営が腐りきっていればどこまでも沈んでいく。

サラリーマン体質をこじらせて、社内で足を引っ張り合い、クサいものにはフタをし続けた結果がこれだ。経営がきちんと機能しているかが確認できない限りは手を出せない。

トップの指導力が弱い程度であれば、タレントを替えれば済むが、組織ごと腐っていれば事は簡単ではないので、ここは注視したい。

オリンパスも経緯に違いはあるが、このパターンだ。

ただ、オリンパスの場合は、原因究明と対策がきちんと進んだことと、世界随一の競争力を誇る内視鏡カメラ事業を持つこと、巨大コングロマリットと比べて贅肉が少ないことから立ち直りが早かった。

また、大王製紙やタカタは、創業家の影響力が強いパターンだ。

大王製紙は、創業家役員が個人の遊興費に会社のカネを横領してしまった事例だ。

事実関係の判明に時間がかかり、株価低迷が長引いた。しかしながら創業家全体がおかしかったり、組織全体が激しく歪んでいたわけではなさそうで、ショッキングな事例の割には回復軌道をたどった。

一方、タカタはシェアが40%を超えて大きかったことが裏目に出て、回収や賠償に会社規模に対して莫大な資金が必要となり体力が尽きてしまった。他の事件に比べて経営が悪質な感じはそこまでないが、何年も前から不具合を放置してしまったことが致命傷となって、先般上場廃止となった。

他と比べると製造体制に難はあれど、まだマシに見えるだけにやや気の毒だが、世界に拡販している製品にはそれだけの責任があり、よほどの体力がなければ失敗は取り返せないのだろう。

創業家パターンも場合も、悪役となった人物以外に問題はないか、行き過ぎたお家騒動が他の役員も巻き込んでいないかなどを確認して、組織の癌の進行度を確かめる必要がありそうだ。

また、少し小さい会社であれば、タカタのように処理しきれないところまで問題が拡大していないかが焦点か。

東洋ゴムの場合は、これは経営陣に問題があったというよりも、取引先のプレッシャーなどにやられたパターンだろう。この場合は、取引関係の見直しや役員等の入れ替えで手術できるように思う。

事件前の力は取り戻せないかもしれないが、体制浄化は可能ではないだろうか。

いずれにせよ投資の観点では、株価は深いところまで突っ込む可能性が高く、回復相場を取るチャンスはいくらでもあるので、焦らないようにしたい。

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