マーケットには、暴落、大幅調整は付きもので避けて通ることはできません。
この記事に辿り着いたということは相場が良くないのか、或いは近い将来の株価下落に備えて勉強しておこうということかと思います。
株価暴落した時は、色んな気持ちが入り混じります。
保有株が下がって、大きな含み損になってしまった。
このまま株価が戻ってこないのではないか・・・。
株価暴落の今こそ買い場!ここで仕込んで儲けたい。
だけど、本当にここで買って大丈夫かな?
大きな不安、一方でチャンスを捉えたい思い。様々な感情や狙いが同居し、迷いを誘います。
株価が暴落、大幅調整するメカニズムを知っておけば、荒れ相場の中でも自信を持って投資行動を選択することができます。
はっきりした理由がない時でも株価暴落は起こりますが、その裏には背景があるものです。
そうした理由を推定できるようになって貰えれば、投資成果も大きく変わってくるでしょう。
「相場のことは相場に聞け」とはよく言ったもので、過去事例から突然の荒れ相場を読み解くヒントを提供します。
目次
突然の株価暴落が起こる理由
はっきりした理由が見当たらないのに、突然株価が下落する理由は需給調整です。
相場のことである以上断言はできませんが、需給調整の可能性が高いものと考えています。
それを示唆する事例をもとに解説します。
突発的な株価暴落事例:2013年5月23日「バーナンキ・ショック」
2013年5月、株式市場は大幅調整に見舞われました。
「5.23ショック」とか「バーナンキ・ショック」と呼ばれる出来事です。
文字通り2013年5月23日に日経平均が一日で1,143円下落しました。
前日5月22日の日経平均は15,672円だったので7.3%程度の下落です。
下落のきっかけは、前日5月22日に当時のバーナンキ米FRB議長が金融緩和の縮小を示唆したことです。
この策はFRBによる米国債の購入ペースを減速し、リーマンショック後から続く金融緩和の出口へ向かおうとするものでした。テーパリングと呼ばれますが、専門じゃない人は別に覚えなくて大丈夫です。
でも、本当のところはこれで市場が動揺した訳ではありません。
米国の金融緩和縮小が目の前に近づいていることは周知の事実で、寝耳に水なんかじゃありませんでした。
株価暴落が起こった背景は、半年うちに急速に株を買い込んでいた投資家のお腹がパンパンに膨れ上がっていたことでした。
近いうちに爆発するはずの風船に針を刺したのが、バーナンキ議長の発言であったというだけです。
一杯まで膨れ上がっていた投資家のポートフォリオ
バーナンキ・ショックが起こる半年ほど前・・・
2012年終盤に第二次安倍政権が誕生、“3本の矢”を打ち出しました。
そう“アベノミクス”が始まった時ですね。
アベノミクスが始まるやいなや機関投資家はそれまでの弱気から一変、イケイケドンドンで急速に株式を買い込んでいきます。
日経平均やTOPIXに影響が大きい、大型株、値がさ株など、日本株の主力銘柄に大きな投資資金が流れ込みました。
その後、4月に入ると更に勢いづけるイベントがあります。日銀黒田総裁が歴史的な金融緩和政策実施を決定しました。
いわゆる黒田バズーカ。その第一段が発射されます。
資金供給量を2年で2倍に、長期国債買入れ規模を2倍に、ETF・REITの買入れ増加との内容。
2づくしのサプライズ金融緩和と呼ばれました。
想定外の大盤振る舞いに、買いが買いを呼び、株価は上がる。
こうした経緯で、風船がパンパンに膨らんでいきました。
投資家のポジション調整によって売りが集中
アベノミクスや黒田バズーカによって景気浮揚期待は急速に高まったものの、上場企業の業績がそんなにすぐ良くはなりません。
株価の裏付けとなるものは、当然企業の業績です。
企業の業績見通しよりも、随分株価が先行する状況になっていました。
そうした中でも、株価はもう少し空中戦を続けたのですが、そうなると困る人達がいまして・・・。
投資運用でメシを食っている機関投資家が困るのです。
機関投資家は、株価指数(TOPIX等)と自分のポートフォリオの収益率を比較して評価されます。株価指数の上昇率に自分のポートフォリオの収益率が及ばなければ負けなんです。
そのためTOPIXが上がる時は、それについていくために保有株を売りにくいのです。割高だと自覚していても、気持ち悪さを抱えながら保有を続けるのです。
機関投資家は、こうした状況で自分だけが売るのは勇気が要りますから、市場全体が下げたタイミングで一緒に売りたいと考えます。下げるきっかけを待つようになるのです。割高な銘柄が下げた時に、自分のポートフォリオを一旦整理して、もう一度仕切り直したいと思うようになります。
そんな状況でポートフォリオに気持ち悪さを感じている時に、バーナンキ議長の発言によって少し株価が下げると、ここが整理するタイミングとばかりに多くの機関投資家が売却注文を出します。
更に大幅な調整に慌てた個人投資家も狼狽売り。
こうした流れで、驚くほどの下落幅になるのです。
突発的株価下落から底値までは1ヶ月程度
突然の暴落後は、どのくらいの期間で株価が戻ってくるのでしょうか。
バーナンキ・ショック時の株価をヒントにすると、1ヶ月程度が目安になります。
下記、2013年4月から7月頃の日経平均のチャートです。
チャートの真ん中左あたりの大きな黒い陰線が目立ちますが、これがバーナンキ・ショックの下げです。
その後も粗い動きで軟調な展開が続きます。
安値を付けたのは6月13日で下落前日の5月22日から16営業日で20.36%の下落となりました。
この下げる過程での動きはチャートからも見てとれますが、ガンと下げて少し戻し、またガンと下げるという動きを繰り返します。
底値までいった後は、下値を固める動きのあと上昇相場に回帰していきました。
ちなみに2013年は、11月28日に15,727円とバーナンキ・ショック前日(5月22日)の終値15,627円を奪回し、年間高値は大納会の16,291円まで値を伸ばしました。
下落前日の高値を超えるには時間がかかっていますが、底打ちまでは営業日ベースで1ヶ月弱です。
株価暴落後は底打ちを確認してから動く
突然の株価暴落時は、焦ってしまいやすいのですが、落ち着いた判断をすることが大切です。
リーマンショックやコロナショックのような実体経済上の理由がある相場は別ですが、バーナンキショック時のように需給調整が実態の相場の場合は、ガス抜きが終われば株価は戻ってくることが考えられます。
投資行動としては、
- 保有株は慌てて投げ売りしない。様子を見る。
- 買いに行くのは、底打ちを確認してから。
というスタンスでいるといいと思います。
バーナンキ・ショックの例でみても、
- 暴落日から底打ちまでは1ヶ月程度
- 暴落前日の株価から底値までは20%下落
となっていますから、このくらいの日にち、値幅をひとつ頭に入れておくといいと思います。
勿論、どれだけ大きな風船が割れたのか。
すなわち投資家のポジションの溜まり具合によって、ダメージの深さは異なりますが、モノサシを持って測るような意識が大切です。
底打ちして横ばいになった後、或いは株価が戻り始めてから動いても全然遅くないですから、暴落の勢いに釣られて慌てないようにしましょう。
また、株価暴落時に買う銘柄については、以下の記事で纏めていますので見てみてください。
「株価暴落時に買うべき銘柄の特徴。狙い目株をバーゲンハントせよ」
以上、突発的な株価下落の理由、株価調整、投資行動についてでした。
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