投資銘柄の探し方は色々ありますが、会社四季報からの銘柄ピックアップもとても有効な方法です。
四季報は、上場銘柄のプロフィール帳で知らない銘柄があった時にたまに見るものくらいに思っている人が多いですが、非常に勿体ないです。
読み込んでいくと、気付きが多くあったり、手垢がついていない銘柄を発見することができるのです。
とは言っても・・・
四季報って辞書みたいなもんでしょ。
あんな分厚い本読んでられない。
と思いますよね。
でも意外に読めちゃうので大丈夫です。
最低限見る箇所をおさえて、読み方を工夫すれば、専門知識がなくてもちょっと頑張れば読めます。
初心者でもできる四季報の活用法について、解説していきますね。
少しづつでもやってみると、世界観が変わりますよ。
それと、「四季報読み込みで得られるもの」については下記記事を併せて読んでみてください。
会社四季報読み込みのメリット。読破率に比例して得られるもの
目次
会社四季報とは
会社四季報とは、どんな書籍なのか。というところから、あらためてみたいと思います。
十分ご存知の方は、読み飛ばしてください。
四季報の特徴をリストアップするとこのような感じになります。
- 東洋経済新報社が発刊する上場企業情報集。創刊は1936年
- 年4回発刊。春号(3月中旬)、夏号(6月中旬)、秋号(9月中旬)、新春号(12月中旬)
- 全上場企業の業務内容、特徴、現在の状況、将来見通し、財務内容まで一覧できる
- 株価、割高、割安の指標(バリューエーション)も掲載
- 全上場企業について、四季報独自の業績予想、業績方向性も網羅されている
- 全上場企業の株主優待リスト有り
- 破綻懸念先リスト有り
全上場企業の概要から、業績方向性、株価位置、さらには優待リストや破綻危険性がある先の一覧まであります。
つまり、これ一冊で投資に必要な基本情報は全て網羅されているのです。
慣れてくると情報が過不足なく纏まっていて、本当優れものだなといつも思います。
定価2,300円でこれだけのデータ集が手に入ります。
また、年4回季刊ごとに特徴を持っていて、会社情報を定点観測できるのです。
- 3月期末を控えて、年間の総決算がどうなるかに焦点が集まる
- 同時に、翌年度の予想にも目が向いてくる時期。新年度予想にも注目しよう
- 今期、来期の予想を把握することでトレンドを感じ取る
- 3月決算実績が完全収録される
- 4月から始まる新年度の業績予想と貴社のコメントに注目
- 年度の見通しを把握しておこう
- 4-6月期の業績推移を見て、中間地点である9月までの業績見通しが明確化してくる
- 今期予想の増額、減額が出始めてくる
- 会社予想、四季報予想の両方をチェックしよう。計画通りに業績進捗しているか確認
- 11月末までに発表された9月中間決算を収録
- 今期予想の増額、減額が色濃く出てくる。来期予想にも目を向けていく時期
- 業績の上方修正、下方修正を踏まえて、銘柄の見方をアップデートしよう
何も知らずにページをめくるよりは、全然とっつきやすいと思います。
四季報のここだけは読むべき箇所
四季報を隅から隅まで読もうと思うと、途方もないですよね。
慣れたらできますが、熟練してこないと非常にしんどいです。
基本的には、ポイントを絞って読み込んでいけば大丈夫です。
ページのつくりを把握した上で、見るべき箇所をお伝えします。
四季報の銘柄ページ構成
会社四季報のページ構成は、下記のように12ブロックに分かれています。
会社四季報「3分でわかる!四季報の読み方」より引用
こちらの写真は、実際の四季報のページのもので、毎号大体4-5ページ目くらいにあります。
「3分でわかる!四季報の読み方」というコーナーで紹介されています。
四季報がお手元にある人は、一度見てみるといいでしょう。
3分でわかるにはちょっとしんどいですが、大分理解が深まります。
あらためて12ブロックを整理すると、このようになります。
- 業種
- 社名・事業内容・本社住所・仕入先・販売先等
- 業績記事・材料記事
- 業績数字
- 前号比矢印・会社比マーク
- 配当
- 株主
- 役員・連結会社
- 財務
- 資本移動・株価推移・特集企画・業種・時価総額順位・比較会社
- 株価チャート
- 株価指標
1銘柄毎にこの12項目が記載されており、銘柄コード順の掲載になっています。。
見る人が見れば、多過ぎないし、少な過ぎない完璧な12項目です。
ただ、全部見るのはしんどいし、ある程度知識も必要になります。
なので、ここから見るべき箇所を抜粋しましょう。
全部見ないと間違った理解になるんじゃないかとか、そんな心配はいりません。
自分の中に銘柄のイメージをつくれればいいんです。
投資決定前には改めてホームページをみたりして調べればいいのです。
慣れてないうちは、100点取ろうなんて思わずにポイントだけおさえてしまいましょう。
ここだけ読む箇所
ここだけは見ておきたい箇所は、以下になります。
- 業種
- 社名・事業内容:事業内容は②欄の【特色】で把握、【連結事業】の下の数字が売上高に占める割合なので、どの事業でどのくらい収益を上げているかを確認)
- 業績記事・材料記事:③欄の左側の見出しが今期のポイント、右側の見出しが中期のポイント
- 業績数字:慣れないうちは、売上高と営業利益だけに絞る。過去から伸びているか、縮小しているかを把握。太字の今期予想、来期予想の伸び率を特に意識
- 配当:配当利回りに注目。3%以上が高配当の目安
- 株主:括弧内の数字が持株比率。特定の会社の比率が高い場合、系列企業だと考えられる。50%以上だとその株主の子会社
- 財務:慣れないうちは、自己資本比率、ROEだけ見よう。自己資本比率が高いほど財務が安定的です。さらっと見るだけでいいですが金融、不動産以外は30%以下の会社は注意。ROEは高いほど株主のお金を稼ぐ力が強いですが、これは諸注意あり。8%以上だとよく稼ぐ会社くらいの認識をしておいて貰えれば結構です
これだけのポイントでいいので、読んでみてください。
列挙すると多く感じるかも知れませんが、見ていくと一つひとつ一瞬です。
30分だけでいいから読んでみると意外に慣れると思います。
どうにも分からない項目は、最初は一旦捨てて構いません。
そこで躓いて挫折するんじゃなくて、不十分で全然OKなので読めるとこだけ読み進めましょう。
ちなみに、初心者には難しいROEを挙げてしまいましたが、興味ある人はこちらの記事を読んでみてください。(ROE、ややこしそうだなって人はこの数字も飛ばして貰って大丈夫です。)
「ROE(株主資本利益率)とは。バフェットも重視する株主孝行指標の真意」
銘柄探しのやり方を4つ紹介
四季報を使った銘柄探しのやり方を紹介していきます。
上記の「ここだけ読む箇所」をおさえながらページをめくっていきますが、何せ3,700社以上の上場銘柄があるもので全部読むのは骨が折れます。
そこで、読むページを絞ってしまいましょう。
また、下記3点を用意して、気になったところには好きにマーカー引いて、気になる銘柄には付箋を貼ってください。ここはお作法なし、好きにやればいいです。
付箋がはみ出して、チクチクの四季報になれば達成感もでますよ。
- 四季報
- 蛍光マーカー(好きな色。黄色が視認性いいかな。)
- 小さめの細長い付箋。(ポストイット・スリム見出しのような品名で売ってます。100均で十分、拘る必要なし。)
番台を決めて読む
番台を決めて読む。すなわちこれ業種を決めて読むことになるんです。
四季報は、1000番台から9000番台に分類されます。
横からみるとグレーで色がついていますが、番台ごとに分かるようにしてあるのです。
各番台ごとに概ね以下の業種に分類されます。(大体であって重複も例外もチラホラあります。)
- 1000番台:建設、水産・農林など
- 2000番台:食料品、サービス、情報・通信など
- 3000番台:小売、卸売、繊維製品、不動産、情報・通信など
- 4000番台:化学、医薬品、サービス、情報・通信など
- 5000番台:石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品など
- 6000番台:機械、輸送用機器、サービス、電気機器など
- 7000番台:輸送用機器、サービス、小売、精密機器、その他製品など
- 8000番台:卸売、小売、銀行、証券・商品先物、その他金融、不動産など
- 9000番台:陸運、海運、空運、倉庫・運輸、電気・ガス、情報・通信、小売など
銘柄数が一番少ないのが、5000番台、次に1000番台。このあたりは読んでしまいやすいです。
逆に一番多いのが、6000番台、次いで3000番台か7000番台あたり。読み応えあります。
好きな業種、気になる業種がある人は、そこから。業種は特にということであれば、数が少ない5000番台、1000番台からやってみましょう。
相場観持ってる人は、「今、ここは要チェックや!」という業種を読み込むといいです。
時価総額を決めて読む
次に、時価総額。つまりは銘柄のサイズを決めて読み込む方法です。
時価総額=株価×発行済株式数。その会社を丸々全部買うといくらになるのか、銘柄の大きさを示すものです。
大雑把に、このような感じで分けられます。
- 時価総額:5,000億円以上⇒大型株
- 時価総額:3,000億円~5,000億円⇒中型株
- 時価総額:1,000億円以下⇒小型株
- 時価総額:100億円以下⇒マイクロキャップ
どれがいい悪いではないですが、大きくなるほど市場での商いも増えてきますし、知名度も高い銘柄が多いです。
大型株ほど株価に織り込まれている情報が多く、小型株ほど知られていない情報が多いです。
四季報から銘柄を探すにあたっては、中型株以下をターゲットにすることをおすすめします。
大型株は、ほとんどの機関投資家が取材していますし、アナリストレポートも沢山出ているので人が知らない情報をキャッチすることは難しいです。
逆に、中小型株であれば機関投資家や証券会社のリサーチが行き届いていないものが沢山です。(というより証券会社のカバレッジは時価総額上位400銘柄程度、上場銘柄数全体の1割程度です。)
中小型株は、多くの人が気付いていないポイントを発見できるチャンスが大いにあります。
また、四季報は決して最新情報が載っている訳ではなく、ベーシックな情報を拾うので、その意味でも隠れた中小型株を狙ったほうが、分が良いと思います。
時価総額は、上記四季報読み方ページ写真の⑨財務欄3行目に記載されています。
ここを見ながら、ターゲットすべき時価総額帯の銘柄をチェックしていってください。
また、下記のスクリーニングで先に時価総額でリストアップしておいて、その銘柄をチェックしてもいいです。
但し、時価総額で銘柄探す場合は、あまり小さいと市場での商いが少なく売買が難しい場合もあるのでそこは注意してください。
スクリーニングで絞ったものを読む
先にスクリーニングして、ターゲット群を決めておいてから四季報でチェックをかけていくのもいいやり方です。
スクリーニングとは、特定の項目に当てはまる銘柄を纏めてリストアップする方法です。
- 業種
- 時価総額
- PER
- PBR
- ROE
- 配当利回り
などなど、項目は無数にあります。
例えば、建設業で時価総額1,000億円以下かつPER15倍以下など、いくつかの項目を組み合わせて、絞り込みます。
「こういう銘柄がよさそう」というイメージがあって絞り込むので、少し投資慣れしてる人向けの方法ですね。
スクリーリングのツールは、証券会社の情報端末や無料のウェブ端末、あるいは有料ベンダーなど色々あります。
四季報のCD-ROM版もあるので、これを買ってやってみるのもいいでしょう。
会社四季報のCD-ROMは定価7,700円です。
グループで情報交換する
投資仲間がいる人には、是非おすすめしたい方法です。
上記3つのうち、いずれかの方法で一人で読んだ後、それを持ち寄って情報交換します。(もちろん、他の方法でもOKです。)
メンバーそれぞれが別々の方法でやるのも悪くないですが、同じ方法であらかじめ分担してやるのが効率的だと思います。
- 番台を決めて読む場合:担当の番台を決める。9人いたら、全部読破できます。もしくは一人当たり複数の番台を読む、できるとこだけやる
- 時価総額を決めて読む場合:例えば時価総額1,000億円以下をターゲットにするとして、その中で番台で担当を割り振る
などなど、やり方はそのグループの数だけあっていいかなと思います。
一人でやると大変なので、人の力を借りて読破率を上げる訳です。
着眼点も異なってくるので、そうした点でも気付きがありますね。
グループでやるときも、持ち物は、四季報、蛍光マーカー、付箋の3点でOKです。
それぞれ自分の四季報に付箋がついてるでしょうから、それを順番に共有していくのです。
共有を受けた人は、その銘柄に付箋貼ったり、マーカー引けばいいです。
自分で読んだ箇所と、付箋やマーカーの色を分けておくとより分かりやすいでしょう。
全部、読んだ人同士でやると更に盛り上がったり、意見交換も起こりますが、これは上級編ということでいいでしょう。
以上、四季報の活用法でした。
会社四季報をまだ持っていない人はすぐに買っちゃいましょう。
わずか2,300円でこれだけ勉強になる。ある意味リターン最強の書です。
それと、付箋が気になる人が意外と多いようなので。
正直なんでもいいですが、おすすめはと聞かれればこれです。
小さいので四季報を閉じた時に、他と被らず綺麗にチクチクになります。
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