決算説明会とは。決算発表からの流れや内容・雰囲気までまとめて解説

株式投資

上場企業の決算説明会について紹介します。

決算発表は、決まった時間に東証の適時開示システムで開示されますが、決算説明会については広く公に公開されていません

個人投資家は、決算説明会の存在を知らない人知っているけど出たことがない人がほとんどです。

決算説明会は誰が参加して、どんなこと話してるんだろう。

一部の投資家だけに特別な情報が提供されてるんじゃない?

なんかズルい感じ・・・。

という風に思いますよね。
その内容が気になるし、自分が知らない情報が出ていたりするんじゃないかと気にもなります。

決算説明会について、イチから解説します。

決算発表から決算説明会までの流れ

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まず、決算発表の一連の流れについて、説明したいと思います。

企業が決算を行う

上場企業は、四半期ごとの決算発表が義務付けられています。
四半期ごとに決算をまとめ、発表に向けて準備を行います。

例えば、3月期決算企業であれば、以下のようなスケジュールになります。
日本の上場企業は、3月期決算の会社が多いです。

  • 【第1四半期】
    期間:4月-6月
    決算集計:6月下旬~7月中旬
    決算発表:7月下旬~8月上旬
  • 【第2四半期】
    期間:7月-9月
    決算集計:9月下旬~10月中旬
    決算発表:10月下旬~11月上旬
  • 【第3四半期】
    期間:10月-12月
    決算集計:12月下旬~1月中旬
    決算発表:1月下旬~2月上旬
  • 【第4四半期】
    期間:1月-3月
    決算集計:3月下旬~4月中旬
    決算発表:4月下旬~5月中旬

大きな会社であれば、財務部で決算集計を行い、それを受けて、投資家対応・広報担当のIR部で決算発表準備を行います。

決算発表準備は、決算説明資料の作成、決算説明会の段取り、社長・主要役員のスケジュールおさえ等です。

少し規模の小さい会社の場合は、財務部や経理部がこれらの役割を兼任していたりします。

決算発表スケジュールの全体観

決算発表の一連のスケジュールは、以下のようになります。
 
①【決算発表】
決まった時間に、東証の適時開示情報閲覧サービスに、決算を開示します
決算短信という決算書や事業の状況が説明された書類が開示されます。
発表時間は、各企業が事前に決めておきます。東証の取引が終了する15時とする場合が多いです。
 
②【記者会見】
決算を発表すると、すぐさま記者会見が開かれます
証券取引所内の記者クラブで行われたり、企業が別で会場を用意していたりします。
記者クラブで行う場合、決算発表と同時に記者の詰所に決算短信が配られ(投げ込みと呼ばれます)、記者はこれを手に会見場へ向かいます。
会見では、簡単な決算説明と質疑応答が行われます。
これは義務ではないので、企業の判断で実施しないこともあります。
 
③【決算説明会】
決算発表、記者会見に続いて、決算説明会が行われます。
決算発表当日か翌日に行われ、15時に決算発表、16時か17時に説明会のような形が多いです。
企業により、数日後に説明会となる場合もあります。
市場関係者、マスコミ向けとなっており、1時間~1時間半程度です。
内容は、以降で紹介します。
 

決算説明会の内容

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決算説明会は、誰が参加して、どんな話しがされているのか、内容をお伝えします。

決算説明会の参加者

上場企業側の参加者は、経営幹部が中心になります。

  • 社長(CEO,最高経営責任者)
  • 財務担当役員(CFO,最高財務責任者)
  • 事業担当役員
  • 財務部長
  • IR部長

トップ自ら登場する会社が多いです。
株主づくりをする上で、それだけ重要なイベントとして捉えているのです。

一方で、説明会の聞き手側は、投資家やマスコミが中心です。

  • 機関投資家(信託銀行、投資信託運用会社、ヘッジファンド等):アナリスト、ファンドマネージャー
  • 市場関係者:証券会社アナリスト、株式セールス等
  • マスコミ:新聞社、東洋経済等経済専門紙、金融情報ベンダー(Bloomberg、Quick等)
  • 証券会社企業担当:投資銀行等資金調達の担当者
  • 銀行:RM担当者等

上場企業が一番話しを聞いて欲しいのは、やはり株を買ってくれる投資家です。
投資家は既に株を保有している人もまだ買っていない人もいます。業績動向を説明し、アピールも織り交ぜます。
(機関投資家については、こちらを参照)

また、投資家と同じく市場関係者にも話を聞いて欲しいと考えます。
証券会社のアナリストやセールスに情報を伝えることで、それが当日出席していない投資家にも伝わっていきます。
投資家へ伝えるための媒体として、市場関係者ともコミュニケーションを取りたいわけです。
(市場関係者の一角である証券アナリストについては、こちらを参照)

上場企業側の担当である、投資銀行あるいはお金を貸している銀行も参加します。
企業の最新状況を把握する機会として、あるいは投資家からどう見られているのかを確認し、その後の助言の為の参考とします。

決算説明会の開催案内・会場

決算説明会の開催案内は、上記のように参加者が限られていることから、一般には公開されていない場合が多いです。

上場企業のIR部門で、これまでに名刺交換した人に案内メールを送るパターンが多いです。
直接上場会社から送られたり、IR代行会社から送られたりします。
1回説明会に参加すると、次回から送られてくるようになります。

では、初回はどうやって参加するのか・・・。
上場会社に直接問い合わせるか、知っている人に聞くことになります。

直接問い合わせる場合は、立場を聞かれますので、対象から遠いと思われると教えて貰えないかもしれません。

知っている人に聞くパターンですが、機関投資家や市場関係者同士では気軽に聞き合っています
また、企業が初めて説明会を開催する際には、取材に来る証券アナリストに案内を送り、声掛けを頼みますのでアナリストを介して開催要項が伝わっていくことが多いです。

説明会の会場としては、下記が一般的です。

  • 上場会社の本社
  • ホテルの宴会場
  • 貸セミナー会場
  • 主幹事証券会社のセミナールーム
  • アナリスト協会の会議室

それから、開催は、第2四半期決算発表時と第4四半期決算発表時のみとなる会社も多いです。
第1四半期、第3四半期は無開催や電話会議形式での開催となる会社もあります。

コロナウイルス影響後は、ZoomやTeamsでのオンライン開催も増えました

決算説明会の内容

決算説明会に参加すると、まず受付があり、そこで名刺を渡して会場に入ります。
名刺により参加を拒否されるところは見たことがありませんが、参加者は記録されています
また、これにより次回から案内メールが届くようになります。

説明会は、こちらの流れで進行します。

  1. 企業側参加者紹介:司会が読み上げ、本人が軽く会釈
  2. 決算内容説明:説明資料に合わせて説明。社長が説明することが多い。
  3. トピック紹介:重要な補足事項やアピールしたい取組みがあれば紹介。社長や事業担当が説明
  4. 質疑応答:参加者からの質問。主に証券アナリストが質問。これがメイン

説明自体は、気になる実績が出たときや何かあるとき以外は、要チェックという感じではないです。(聞かなくて十分という意味ではなく。)

メインイベントとなるのは、質疑応答です。
ぶっちゃけ説明は無難なものなので、質問で業績の実態、背景や先行き見通しを掘り下げていきます

質問は誰がしてもいいことになっていますが、証券アナリストがメインです。

証券アナリストが、参加者を代表して皆が聞きたいこといや、聞きたいけど聞きにくいことを聞くのです。そういうことが暗黙のルールになっています。

企業側も挙手した中から、アナリストを集中的にあてます。
その他は、マスコミがちょこちょこ質問します。

よくある質問内容は、このような感じです。

  • 業績がよかった理由は何か?それは今後も続くのか?
  • 業績が悪かった原因は何か?それは回復可能なのか?
  • 競合他社と比べて利益率が低いが何故なのか?
  • 外部環境が変化してきているが、対応できているか?
  • 他社を買収する考えはあるか?

また、メインの参加者である機関投資家が質問することは、ほとんどありません

機関投資家は、会場内に他の投資家が多くいる中で、自分が考えていることを知られたくないですし、いい情報が引き出せれば他の投資家には教えたくありません

それと、鋭い質問をして、企業側と関係が悪くなると取材しにくくなります
万一、大勢の前で企業側に恥をかかせてしまうと最悪出入り禁止の可能性もありますから。

証券アナリストにとって、投資家はお客さんですから、こうした事情を汲んで、代わりに皆を代表して質問します。

アナリストが5-6人で2問づつぐらい質問すると、大体時間が来るので、お開きです。

大型銘柄と小型銘柄による違い

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大型株と小型株で、決算説明会の雰囲気は随分異なります

大型銘柄の説明会

大型株の場合は、保有している投資家も多く、マスコミからも注目を集めています
参加人数に合わせて、会場も大きく500人くらいは入るほどです。
ほぼ満員に埋まった会場で質疑応答も時間一杯行われます。

小型銘柄の説明会

対して、小型株の場合、参加者はかなり少ないです。
定員50人以下規模の会場で行われ、参加者が20人に満たないときもあります。
こうした銘柄の場合は、知名度もないことから会社紹介から行われたりします
質問も1、2問だったり、なかったりもしますね。

ただ、銘柄発掘上は、注目度が低いうちがチャンスでもあります。
何かのきっかけで急成長することもよくありますし、注目が集まるに従って参加者が増えてきます

そしてこれは、大型株にも言えることですが、参加者がいつにも増して大入りの時は、株価がピークをつけて下落する予兆だったりします。

個人投資家も参加できる説明会

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説明会のほとんどは、機関投資家や市場関係者向けですが、個人投資家向けのものもあります

個人投資家向け企業説明会

個人投資家向け説明会の主な開催ルートを紹介します。
決算説明会というよりは、企業紹介がメインとなっています。
ただ、その中で直近業績の説明もありますし、質問することもできます

個人投資家向け説明会は、以下のパターンがあります。

  • 証券会社が主催する説明会
  • 日本証券アナリスト協会が主催する説明会

証券会社が主催する説明会は、各証券会社で不定期に開催されています
各証券会社のセミナー案内対象企業のホームページに掲載されていたりします。
但し、各証券会社は基本的に主幹事銘柄の説明会を開催しますので、イベントは証券大手5社に集中します。それと、説明会参加後に勧誘の電話がかかってくるかも知れないので、そこは注意したほうがいいでしょう。

また、証券アナリスト協会が主催する説明会もあります。
個人投資家向けIRセミナーのページに案内がありますので、イベントを確認してみましょう。
ネットで申し込めて、参加費も無料ですので、行きやすいですね。
東京、大阪のみの開催なので、地方在住の方はちょっと大変かも知れません。

企業ホームページから説明会動画・資料を見る

各上場企業のホームページには、投資家情報・IRのページがあります

投資家情報・IRのページに決算説明会の箇所があって、過去の決算説明会資料や会社によっては動画がアップされています

丁寧な会社だと、質疑応答までまとめられています
これは、いつでも誰でも見れます
保有銘柄や気になった銘柄のホームページから、投資家情報・IRのコーナーをチェックしてみましょう。

個人投資家向け説明会が開催されている場合は、その資料もありますし、お問い合わせフォームがあれば次回開催について尋ねてみるのもいいでしょう。

以上、決算説明会についてでした。

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