投資信託の信託報酬とは。目安はどのくらい?

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投資信託の隠れたコストに、信託報酬というものがあります。

投資信託を購入する時に、2%~5%程度の買付手数料を支払ったことはよく覚えていると思います。
購入時に手数料分を少し高いなと思いながら、上乗せで支払ったのではないでしょうか。

しかし、投資信託の保有中にもコストがかかっているのです。
これを忘れてしまっている人が多いです。
信託報酬と呼ばれるもので、自覚していようといまいと毎日差し引かれています。

決して少なくない金額になりますので、ここまで計算に入れた上で保有を続けるか判断することが必要です。

信託報酬とは、どういうもので、どのくらい払っているのか?
分かりやすく解説します。

信託報酬とは

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信託報酬とは、投信の運用管理にかかる費用です。
投信を運用するには、投資対象の調査や見極め、基準価額の計算等々、色々な手間がかかってくるので、その費用を賄う必要があります。

大枠のイメージとしては、投信運用会社のファンドマネージャーやアナリスト、裏方スタッフの人件費システム費用等々だと考えてもらうといいでしょう。

その上で、もう少し細かく説明します。
(そんなのいいよって人は、読み飛ばしてもらっても大丈夫です。)



信託報酬は誰が受け取るのか

信託報酬は、基本的に3つの会社が受け取ります。

  • 委託会社:投資信託運用会社。例:○○アセットマネジメント
  • 販売会社:投資信託を販売する会社。例:△△証券
  • 受託会社:投資信託を保管・管理する会社。例:□□信託銀行

投信運用会社(委託会社)によって、ファンドから差し引かれたものが、これらの会社に配分されていきます。

投信運用会社、証券会社、信託銀行等の収益になります。

投信の管理運用に必要なものという定義ですが、少し細かく考えると販売会社(証券会社等)の取り分は管理運用とは関係ないですよね。

投資家としては、ここは違和感を感じずにはいられませんが、仕組みとしてはこうなっています。
買付の際に、手数料もかかっていますが、信託報酬も別途徴収されることになるのです。

信託報酬は、投資家から運用会社、証券会社、信託銀行等に対して支払われていることになります。

信託報酬をいつ、いくら支払っているのか?

信託報酬は、いつ、いくらかかって、どのタイミングで支払っているのでしょうか。

信託報酬は毎日計上される

信託報酬は、基本的に毎日一定率が計上されます
そして、それが基準価額に反映されます

シンプルに言うなれば、基準価額は組入資産の値動きによって決まりますが、そこから毎日の信託報酬分が差し引かれている形になります。

投資家からすると、請求書が来るわけではないので支払っている意識はないと思いますが、日々基準価額の調整によって徴収されているのです。

目に見えにくいものは、コスト意識が薄くなりますが、ここはしっかりと意識しておくことが大切です。

反対に、投信運用会社や証券会社の立場からみると、投信残高があるだけで毎日自動的に収益を稼ぐことができ、安定収益源となるわけです。

信託報酬って毎日かかってるのか。

毎日見る基準価額は、信託報酬が差し引かれた後のものですね。

信託報酬額の目安。純資産額の1.7%程度がひとつのイメージ

信託報酬の支払い金額は、ファンドによって違いはありますが、目安として1.7%前後と考えるといいでしょう。

0.5%のファンドもあれば、2%のものもありますので、既に保有の投信があれば後で確認してみましょう。

ファンド純資産残高、上位の投信の信託報酬率(実質)は以下のようになります。

□純資産残高上位10ファンドの信託報酬率(実質)
10ファンド平均:1.699%

  1. ピクテグローバルインカム株式F(毎月分配):信託報酬率1.81%
  2. 東京海上・円資産バランスF(毎月) :信託報酬率0.924%
  3. GESGハイクオリティ成長株式F(ヘッジなし):信託報酬率1.848%
  4. G・ハイクオリティ成長株式F(ヘッジなし):信託報酬率1.87%
  5. グローバル・プロスペクティブ・F:信託報酬率1.658%
  6. 次世代通信関連 世界株式戦略F:信託報酬率1.848%
  7. A・バーンスタイン・米国成長株投信D:信託報酬率1.727%
  8. GSテクノロジー株式ファンドB(ヘッジなし):信託報酬率2.09%
  9. フィデリティ・USリート・ファンドB:信託報酬率1.54%
  10. ダイワ・US-REIT・オープンBコース:信託報酬率1.672%

日本経済新聞社ウェブサイト投信ランキングより抜粋。2020年10月11日時点

信託報酬率(実質)1.7%程度を目安として金額をイメージしてみましょう。

ちなみに実質というのは、保有している投信が別のファンドに再投資している場合、再投資先ファンドの信託報酬等がかかりますので、それらを加味したものです。
ややこしいですが、要するに、あなたが支払う信託報酬の総額です。

では、分かりやすい例で計算してみます。

★投資信託:保有金額1,000万円(1,000万口、基準価額10,000円)、信託報酬率1.699%

年間:保有純資産額 1,000万円×1.699%=169,900円

月間:169,900円÷12ヶ月=14,158円

一日:14,158円÷30日=472円

保有金額が1,000万円だとすると毎日470円払いつづけて、1年で17万円支払っているわけです。
5年で85万円10年で170万円です。

請求書が来ていないだけで、基準価格からこれだけの金額が差し引かれているのです。

毎日の基準価格の増減で、信託報酬額はその分異なりますが、おおよその評価額を基にどのくらい負担しているのか把握できます。

毎日470円でも1年で17万円にもなるんですね。

ちょっとした旅行くらい行けちゃう金額・・・。

その投信は本当に保有すべきか?

投信は、保有しているだけでもこれだけのコストがかかっています
長期間保有すればするほどコストが膨らむので、それを取り返すほど儲からないと損してしまいます。

どうですか?
それだけの価値がある投信ですか?

そこをよく考えてみましょう。

  • そのファンドの組入資産は、投信でないと買えないのか?(例:海外の特別な資産など)
  • その組入資産について、十分な情報と見通しがあり、自信を持って保有しているか?
  • そのファンドでないと意図する分散効果が得られないのか?(例:現物株で近いポートフォリオを組めないか?インデックス型ETFと値動きが似ていないか?)

投信には、決して安くないコストがかかっていることを認識して、それに見合うだけの価値があるのかを意識することが大切です。

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