為替の方向感を予測するうえで、大きなポイントになる通貨先物ポジションについて説明します。
為替の変動要因としては、各国間の金利差や金融政策の方針、景気動向があげられますが、それとは別に先物取引のポジションによる影響も大きいです。
通貨先物ポジションは、各通貨の取引残高を示すものであり、需給に影響をおよぼします。
FXなどをやらない人でも、為替の先物ポジションについて知っておくと、相場を見るうえでとても役に立ちます。
CFTC IMM通貨先物とは?
CFTCとIMMは先物取引委員会・マーケットの略称
CFTCとは、Commodity Futures Trading Commission の略であり、米国商品先物取引委員会のことです。米国の先物取引を所管する組織であり、数多くの種類の先物取引を管轄しています。
そのCFTCに所管される、代表的な先物取引マーケットにシカゴ・マーカンタイル取引所があります。
シカゴ・マーカンタイル取引所では、金をはじめとする鉱物類、大豆、トウモロコシなどの穀物などの先物が上場されており、その中のひとつとして通貨の先物も上場しています。
シカゴ・マーカンタイル取引所は、CME(Chicago Mercantile Exchange)と呼ばれており、英国のLME(London Metal Exchange)と並んで、商品先物のグローバルスタンダードとなるマーケットです。東京商品取引所などは、国際的にはほぼ無視状態で、日本人投資家もほとんどCMEやLMEの相場を見ています。特にCMEは穀物、LMEは金属に存在感を持っています。
IMM通貨先物ポジションと円先物
CMEの通貨先物市場をIMM(International Money Market of Chicago Mercantile Exchange)と呼びます。
主要通貨の先物はドル、ユーロ等それぞれ個別に上場されており、円もそのひとつとして上場しています。これが、IMM通貨先物の円ですね。
金や大豆と同じように、円の水準を先物として取引し、市場参加者は、売りまたは買いのポジションを取ります。
売りは期限までに買い戻すことになりますし、買いは逆で期限までに売ることになります。
売りが多ければ将来の円買い圧力(円高)が強く、買いが多ければ逆に円売り(円安)の圧力が強くなります。
売りのポジションと買いのポジションはそれぞれ市場全体として集計されています。
そしてCMEは、毎週、管轄役であるCFTCに、先物取引の建玉(ポジション)状況を報告しています。
これが公開されることから多くの投資家にヒントになるわけです。
CMEは、火曜日時点の建玉明細をCFTCに報告し、それがその週の金曜日にCFTCから一般公表されます。
通貨先物ポジションはどのように見るか
売建玉(Short)の枚数、買い建玉(Long)の枚数、その差し引き(Net)の建玉枚数を見てください。
過去の水準と比べて、売り、買いの枚数が多いか少ないか、差引がどちらに突出しているかを確認します。
毎週の先物建玉と為替レートの方向性と一致していれば、先物を通じて動いたことが確認できますし、残高を見ることで先物市場参加者が金融政策の方向性などをどう見ているかが分かります。
また、残高が売り買いどちらかに傾いている状況が続いていれば、どこかでポジションが反転しやすくなりますし、その動きに引っ張られて為替レートも動くことになります。
偏ったポジションはどこかで是正されることを念頭に置いて、残高の水準をチェックします。
その時々によるところもあるので、一概に言いにくいですが、一応の目安として差引(Net)で100,000枚を超えていると偏りが大きく、何かのきっかけで反転しやすい地合いと考えます。
IMM通貨先物ポジションの建玉は、CFTCのウェブサイトで公表されていますが、英語ですし、慣れていないと見るのも億劫かなと思います。
FX業者のホームページなどで閲覧できることも多いので、そちらを見るのが手っ取り早いです。
私は、こちらの外為どっとコムからエクセルファイルをダウンロードするのが楽です。
少し検索してみるといろいろ出てきますので、自分が見やすいものでチェックするといいでしょう。
IMM通貨先物ポジションは、FX投資家にはお馴染みかと思いますし、株式投資家にとっても為替水準を予想する上でチェックしておきたい統計のひとつです。
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