投資信託はいかにも手軽なセールストークで販売されています。
「株を買うのは怖いのでまずは投信から」という人もたくさんいますね。
それだけ上手にパッケージされた、優秀な販売商品だと思います。
何十年にも渡って消費者心理を上手くコントールした秀逸なマーケティングに脱帽です。
ただ、冷静に投資の観点で見て投信はおすすめできません。
もう少し正確に言うと、「おすすめできない投信が沢山あります。」、「おすすめできない投信ほどよく売れています。」
投信を買おうか迷っているあなたに、‘買ってはいけない投信’について、少しばかりお伝えさせていただきたく思います。
目次
買ってはいけない投資信託5つの特徴
高分配型投資信託
高配当の投資信託は昔から人気があります。
特に人気を集めているのが、毎月分配型。
口数に応じて、毎月決まった額が口座に入ってくるので、そりゃあ嬉しいですよね。
定期預金慣れしている日本人には利息のような感覚を覚えさせます。
この利息感覚が中毒性があるんです。
但し、これは預金利息や債券の金利、株の配当などとは全くの別物です。
毎月、配当に回す分だけ、(自動)解約して取り崩しています。
取り崩した分だけ投信の基準価額が下がります。即ち、ファンドの中でお金を回しているだけです。
毎月分配によって運用効率が悪いのもそうですが、最大の問題は分配金に騙されて運用成績そのものに目が向かないことです。「分配金が出ているから大丈夫だろう」なんて思ってる人もいるので。
また、この仕組みを2、3度聞いたことがある人でも分配型投信から抜け出せなかったりもします。
それが中毒性というやつなのか・・・。
販売側からしてみると、分配金を餌に販売しやすい、運用成績に目が向かずフォローがいらない、分配金が出ているから解約されにくい、といった悪魔的なメリットがあります。
金融当局も問題視はしていますが、分配金フォーカスの販売姿勢は中々変わってはきませんね。
「分配金利回り」なんて造語もあるので注意してくださいね。
(分配金利回り=分配金額÷購入金額) です。
都合よく分配金額を設定するので、債券、株よりも高利回りなのは当たり前です。
分配金の仕組みについて詳しく知りたい場合読んでください>>>
投資信託分配金の仕組みと利益認識。投信は本当に儲かっているのか?
テーマ型・テクノロジーをウリにしたファンド
世の中の潮流を捉えたファンド。
「これから加速度的に伸びる領域に投資します」というような投信にも注意してください。
いわゆる「テーマ型」の投資信託というやつです。
これから伸びる発展途上国に投資するファンド。
環境関連ファンド。
AIなど最新テクノロジーファンド。
いかにも煌びやかで大儲けできそうな感じがします。
大きな枠組みはいいでしょう。
だけど、何年先に投資収益に貢献してくれる見込みがあるんでしょう?
とりあえず日の目を浴びそうな領域だからといって投資するのは博打過ぎやしませんか?
シビアに今期、来期、再来期と業績予想と現状株価を見比べながら判断していくのが投資です。
見栄えが良くても一寸先は闇なものに高い手数料を払って投資するのは賢明な判断とは言えないのではないでしょうか。
これも販売方法としては、非常にうまい。綺麗に見栄えよく長期投資でと言って販売しやすいですね。
長期投資という言葉は時としてズルいんです。
クレームが出ても「まだ花が開く前だから気長に持ってほしい」と言えばいいし、長い時間が経っている間にファンドへの意識も薄れてくる・・・。
新興国資産型のファンド
上記のテーマ型とも重複してきますが、新興国へ投資するファンドは要注意です。
ブラジル、南アフリカ、トルコ、アジア全般・・・こういったものが多いです。
新興国通貨は一般的に為替変動が大きいので、儲かるときはがっつり儲かります。その逆もしかりです。
また、金利水準が高いです。
リターンの源泉でもありますが、それ以上に為替変動が大きいです。
新興国の経済発展というと、綺麗なセールストークがつくりやすいですが、果たしてその国ことがどれだけ正確にわかるでしょうか?
知識がなくても冷静に考えれば人任せ、というより運任せな要素が強いですよね。
意外にこういう投信を買ってしまう人も多いので注意です。
信託報酬の高い投資信託
金融機関にとってありがたいのが信託報酬の高い投信です。
信託報酬とは、保有しているだけで毎日かかる費用で、平たく言えばファンドの運営料みたいなものです。投信の運用会社や販売会社の食いブチになります。
大抵ファンドのパンフレットの一番後ろの費用一覧に書いてありますが見てない人のほうが多いでしょう。販売手数料は購入時に直接かかるので認識するけど、信託報酬は運用資産から少しづつ自動的に引かれているので気付かない人もいるんですよね。
ファンドによって違いますが、大体運用資産の1-2%程度が引かれます。
近年は、証券会社の経営姿勢として信託報酬に頼ることが多くなっています。
信託報酬は顧客が投信を持っている限り入ってくるので安定収益になるんです。
相場変動に左右されない収益基盤、といって信託報酬を沢山得られるよう投信残高拡大を図っています。
信託報酬も積みあがると結構大きくなるので要注意です。
信託報酬について詳しく知りたい場合はこちら>>>
投資信託の信託報酬とは。目安はどのくらい?
クローズドエンド型投資信託
クローズドエンド型の投資信託とは、途中解約ができないタイプです。
多くはオープンエンド型で、こちら基本的に随時解約可能です。
クローズドエンド型は途中解約できないので値動きから逃げられないです。
利食い、損切りが随時できないということですね。
満期保有で元本保証などがついているタイプであればいいかも知れませんが、
よほど吟味して買わないとやり直しがきかないファンドですね。
経験を積んで判断できる人であればアリですが、少なくとも初心者向きではないでしょう。
買ってはいけない投信を証券会社・銀行が勧める理由
投資する側からは、「買ってはいけない投信」も販売する側には美味しいものです。
金融機関は、販売しやすくて、大きな販売手数料が入り、保有期間中も信託報酬を得続けられる投資信託は貴重な収入源となります。
株式や債券よりも手数料が高くて、顧客に持たせていれば黙っていても収入が入ってくるので販売したくなるのは当然です。
手数料や信託報酬が高いファンドを売りたくなるインセンティブがはたらいています。
買っても問題ないおすすめ投資信託
上述した金融機関にとって都合のいい投信は避けなければなりません。
これらは広告費もかけていて目立つ売れ筋商品です。
「じゃあ、買っていい投信はないってこと?」と思いますよね。
正直限りなく、「ない」に近いと思っています。
だけど、ものには例外がある。
直販型投信に「まともなファンド」が多い
まっとうなファンド構成、販売体制を敷いている会社、ファンドもあるものです。
基本的にどの投信もファンドマネージャーは確りしたプロであることが多いです。
問題なのは、(販売側の儲けに偏った)ファンドの仕組みです。
これをクリアできているファンドは資金を預けるに値します。
それは直販型のファンドに多いです。
さわかみ投信、鎌倉投信、レオス・キャピタルワークス、コモンズ投信、などの独立系運用会社が直販を行っています。
大手では、三菱UFJ国際投信、三井住友DSアセットマネジメントの一部ファンドで直販を実施しています。
無論、直販型でも全てのファンドがいいわけではありませんが、比較的まともなものが多いです。
アクティブ元年・日本株ファンド
敢えてひとつ、まっとうないいファンドを挙げるとすれば・・・
三井住友DSアセットマネジメントの「アクティブ元年・日本株ファンド」です。
- 高分配金型ではない:分配金でお化粧せずしっかり運用成績で勝負する
- テーマ型ファンドではない:日本株個別銘柄抽出というファンドマネージャー本来の仕事に集
- 見えない資産を買わない:新興国や未来のテクノロジーなどではなく地に足のついた日本株運用
- 信託報酬が高くない:信託報酬1.078%。1%台後半~2%台の多くの売れ筋ファンドと異なる
見せかけで販売せず、運用に集中している優良なファンドです。
本来投信を購入する理由は、プロであるファンドマネージャーに任せられるという点でしょう。
その意味でもこちらのファンドはしっかりと役目を果たしています。
日本の小型成長株をベテランファンドファンドマネージャーがしっかりと吟味しています。
組入上位5銘柄を見ても・・・
- (4992)北興化学工業
- (7366)LITALICO
- (9757)船井総研ホールディングス
- (2130)メンバーズ
- (5217)テクノクオーツ
と、丹念に抽出、リサーチしなければピックできない銘柄が並んでいます。
これらの企業に何度か足を運んで取材しているのです。
また、コストが安いです。
- 購入時手数料:無料
- 運用管理費用(信託報酬):年1.078%
いわゆるノーロードファンドです。購入時手数料も多くのファンドは3%(1,000万円相当以下)かかりますが、こちらはゼロ。信託報酬も上記のように他と比べて安いです。
なぜそれでファンド運営が可能なのか?
多額の宣伝費を使ったり、販売会社に沢山の報酬を支払わなくて済むからです。
ファンドマネージャー、アナリストの給料、基準価額の算定メンテナンス、バックオフィス費用などの純粋にかかる費用を賄い、販売会社のインセンティブなどは考える必要がありません。
純粋に運用に集中するファンドです。
その代わり、誰も売りに来てくれず、ネットのみの申し込みなので、ちょっとだけ面倒くさい。
ただ、そのわずか数分、数十秒の手間で、雑音に惑わされず、コストの安い良いファンドが買える。
全然アリでしょう。
興味、関心がある人は、下記リンクから詳細をチェックしてみてください。
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