日本の投資信託は分配型投資信託に人気が偏っていました。
個人投資家からすると毎月口座にお金が振り込まれるので何となく儲かった気になる商品なのですが、分配型が人気を集めているのは日本くらいです。
分配型投信は運用状況に関わらず儲かった気になってしまい、その仕組みを知らないまま気付いたら損失が膨らんでいたという事例が多く、金融庁は2017年になって分配型投信を問題視しはじめました。
ただ、昨年になって金融庁が重い腰を上げただけで、これが良くないことはちょっと分かる人なら誰もが知っている事実でした。
2010年あたりから証券会社を中心に、運用状況の悪化している他社投信から自社投信へ乗り換えることを薦める動きが徐々に広がり、個人投資家へ分配型投信の仕組みを伝えた上で、今保有しているファンドを診断してみましょう。というアプローチが出てきたのですが、投資信託市場にあまり大きな変化は起こりませんでした。
啓蒙活動が不十分ということに尽きるでしょうが、1回説明しただけでマインドが変わる投資家も少なかったようで(というか単に理解させられるだけの説明ができてないだけ)、なんとなく損なのは分かるけどそれでも毎月分配金が振り込まれるのがいいという人が多く、金融機関側も売り易いことから分配型偏重は変わりませんでした。
分配型は誰が考えたか分かりませんが、人間心理に訴えかけるある意味上手な仕掛けだと思います。
基準価格がどうであろうと、毎月手元にお金が入るというのはインパクトがあるのでしょう。
“勘定”で損していると伝えても、“感情”は目の前の札束に乗っ取られてしまい、思考を停止させるんでしょうね。
定期的にカネが入るというのが、定期預金慣れしていたり、月給制のサラリーマンが多い日本人には心地いいのかと思います。
それと証券会社側も上記の投信診断型のアプローチを続けていれば、もう少しコンサルティング型の営業に近づけたと思うのですが、販売会社体質から抜け出せず脱皮するチャンスを逃してしまったのです。
で、2017年に金融庁から指導を受けてようやく変わり始めました・・・やれやれ。。。
分配型が減った代わりに、資金が向かった先がAI、ロボテク、ビッグデータ関連など成長を想起させるファンド群です。別に高配当ファンド(分配と違います。株の配当です)に投資するなとは言ってないのですが、単純にガラッと変わってますね。
成長株ファンドがよくて、安定収益ファンドがダメという話しとは異なるのですが、まあこういったテーマが新ファンドとして出てきたことでこの辺りに資金が向かったのでしょう。
分配型投信から脱却しつつあるのはいいのですが、今度はなんとなくキラキラして派手なファンドに一層資金が集中しそうです。
宣伝費を沢山つかった派手なファンドではなく、顧客や市況に合わせたファンドを選ぶことが必要なのですが、なかなかそこまでは進歩できないようです・・・
金融庁に言われてようやく分配型投信偏重は終わりそうですが、まだまだ変な投信を買ってしまったというトラブルは続きそうですね。
日本の投信市場は、どこの会社でも商品ラインナップは揃ってるのに(というか過剰なのに)、きちんと選別して提案できる人が極端に少ないのが残念です。
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