ROE(株主資本利益率)とは。バフェットも重視する株主孝行指標の真意

株式投資
株式投資に関心のある人なら、ROEという言葉は聞いたことがあると思います。
ROEの数値が大きい程良い。くらいのイメージはあると思いますが、それが一体何を示しているのか腹落ちしている人は多くないと思います。
ウォーレン・バフェットも重視する超重要指標であり、しっかりと理解して使いこなしたいもの。
ROEの意味するところを分かりやすく解説します。

ROEの基本概念

ROEは、Return on Equityの略です。日本語にすると株主資本(自己資本)利益率となります。
株主資本=株主のお金 からどれだけの利益を生み出せるか。
これを指数化したものです。
英語にすると、ざっくりEquityと株主資本を同義で考えてもらって差し支えないです。
Equity(株主資本)からどれだけのリターン(利益)を生み出せるか。ゆえにReturn on Equity です。
計算式にすると、
ROE(%)=当期純利益÷株主資本×100
となります。
ベースである株主資本を活用して、どれだけの利益を稼いだかを測定します。
例えば、ある会社の株主があなた一人であり、設立にあたって1,000万円を出資してあげたとします。
そして、この会社が1年間で100万円の利益(当期純利益)を稼いだとするとROEは、
当期純利益100万円÷株主資本1,000万円×100で・・・10%となります。
別の会社に同じように1,000万円出資していれば、当期純利益200万円を稼いでROE20%だったかも知れませんし、逆に当期純利益50万円でROE5%だったかも知れません。
当然、出資額に対して沢山稼いでくれる会社のほうがいいに決まっています。
上記は簡単な例ですが、会社によって当期純利益や既にある株主資本の水準は様々です。
それをモノサシを揃えて測定しようというのがROEの趣旨です。
まずは、ここまで押さえて貰えればと思います。

ROEは株主孝行度を示す

著名投資家ウォーレン・バフェット氏もROEを大変重視しています。
複雑な計算は不要でシンプルに算出できますが、結局儲かるのかどうかという本質にフォーカスした指標です。
上記の基本概念でも述べましたが、ROEは株主の為にどれだけ働いたかを表す数字です。
株式会社のはじまりは大航海時代に遡りますが、ここでは喫茶店で航海者が資本家から資金を募っていました。
航海資金を出してくれれば、航海で持ち帰った香辛料や物品を売って得た利益を分配するというものです。
何人もの航海者が資金を募りますが、資本家はどの航海者にカネを出せばより儲かるかを考えて出資先を選別します。
そうした時に、航海者の過去の実績次の航海プランなどを聞いて判断しますが、客観的に数字で比べると決断がしやすくなります。
この航海者は、過去の実績ではいくら稼いだのか今回はいくら稼ぐプランなのか
そして、その元手としてどのくらいの金額がいるのか
航海者ごとに、過去実績ではいくら稼いだ(当期純利益)/どのくらいの元手資金を集めたか(株主資本)を計算して並べてます。
当然ながら稼いだ額が多くても、元手に対しての割合が少なければ優秀な航海者とは言えませんし、逆に稼いだ額が少なくても、元手に対しての割合が多ければ優秀な航海者です。
一人の資本家の取り分は、前者よりも後者のほうが多くなりますし、後者にもっと多くの元手を預ければさらに多くの儲けを得ることができるかも知れないと考えますよね。
これが、実績ROEです。
同じように、今回の航海プランでは、いくら稼ぐつもりなのか(当期純利益)/どのくらいの元手を必要とするのか(株主資本)で比べたものが、予想ROEです。
実績がある航海者のほうが、プランにも説得力があり計画通り稼いでくれる可能性が高そうですよね。
このようにして、株主のお金をどれだけ増やしてくれるかを測るのがROEです。
これは普遍的なものであり、大航海時代も現在も未来も変わりない株主にとってのモノサシです。
お気づきかと思いますが、航海者を会社(銘柄)、稼いだ額を過去業績、いくら稼ぐつもりなのかを今期会社計画、元手を株主資本と読み替えて貰うと、そのまま現代の株式投資の考え方になります。
株主の為に、どれだけ稼げるかが、ROEそのものです。

株主の為のROEと債権者の為の金利

ROEをより深く理解いただくために、債券の金利との比較の観点で解説します。
ROEがさらっと分かればいいから、プラスαは不要という方は読み飛ばして貰って大丈夫です。
ここまでは株主側の視点だけで述べてきましたが、会社にお金を提供する人にはお金を貸してくれる債権者もいます。
銀行であるとか、社債を購入した人です。
単純化すると、株主は会社が稼いだ利益で儲けることを企図し、債権者は会社からお金のレンタル料(金利)を受け取って儲けることを企図します
債権者の儲けは、金利〇%といったようにあらかじめ決まっています
社債を買ったことがある人は良く分かると思いますが、ソフトバンクの金利2%の社債を100万円買ったら、1年間で2万円儲かります。満期には元金が戻ってきます。
債権者の収益性は分かりやすいです。
対して、株主の収益性は測ることが難しいです。
配当は分かりやすいですが、株価の騰落で随分収益性は変わります。
ですが、株式会社の仕組みに立ち返ると、会社が稼いだ利益は株主のものです。
それを配当として還元するのか、更なる元手資金として蓄積するのか、お金の振り分け方は分かれますが、このお金は株主のものであることに変わりません。
株主総会やそこで選任された(株主に雇われている)取締役が決定していくのです。
航海のように利益の全部を分配してくれるのであれば分かりやすいですが、振り分けてるので
利益と財布に入るお金にズレがあるのでイメージがしにくくなっています。
株主の収益性を測るには、株主の為に稼いでくれた利益と出資した額(株主資本)を比べて算出します
これがROEです。
債権者の儲けである金利と比べると一般的に結構高くなりますが、儲けの性質も異なっているのです。
また、単純に株価の値上がり益で儲かったというのとは違う話になるので、そこは留意してください。
ただ、ROEが高い=株主のために稼ぐ力が強い会社は、株価が高くなりやすいのは言うまでもなく、そこは述べてきたように変わらない本質が根幹にあります。
非上場会社であれば、稼いで利益を全部配当させて回収すればROEと収益率が一致します。
上場会社の場合は、株価の変動があるのでトレードを上手くやらないと回収しきれない訳です。
考え方としては、利益のうち配当で回収した部分以外は、将来株価の値上がりへ向けて稼ぐパワーに変換されている訳ですから間接的に貢献してくれてる感じでしょうか。

ROE(株主資本利益率)の真意まとめ

  • ROEは株主のお金からどれだけの利益を生み出せるの指標
  • ROEは株主の為にどれだけ稼げるかを比較し、優秀な航海者(会社)を見定める上で重要な指標となる。大航海時代から現在、未来においても変わらない普遍的なモノサシ
  • 債権者にとっての金利のように、ROEは株主にとっての収益性に類似するもの

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