投資用マンション売却についてリアル体験談を紹介します。
2021年7月現在、私は初めての投資マンション売却に向かおうとしています。
エキスパートには程遠いですが、第一歩目の記録として・・・。
そして、遠くない将来の売却を見据えているあなたの参考に書きたいと思います。
不動産売却の流れや税金などを解説している本やサイトは多いです。
勿論それはそれで大変役に立つ。
だけど、リアルにこうやるんだっていう手触り感がないんですよね。
この記事では、初めて売却にトライする人、久しぶりに売却しようとする人に、
「手触り感のある疑似体験」をお届けし、「そっか、こうすりゃいいのね」と思って貰えたらいいなと考えております。
なお、この後の交渉で売却は破談となったのですが、それも含めて全体験を記録しています。
売却プロセスの要所は体験していますので参考になると思います。
続編の第2回目記事、第3回目記事も読んで貰えると嬉しいです。
>第2回目
【初体験談・対話形式】投資用マンション売却交渉時の面談
>第3回目
【初体験談】投資用マンション売却に失敗。交渉途中で破談に。
- 初めての不動産売却をする人、検討している人
- 数年振りの不動産売却で流れを思い出したい人
- 不動産投資初心者で出口の勉強をしたい人
- 不動産売却のリアルストーリーとして楽しみたい人
- 不動産売却のリアルな流れ
- リアルな不動産売却事例
- 不動産売却にあたっての準備
この記事を書いている時点での私の状況は以下の通り。
- 不動産投資家3年生
- 中古RCマンション1棟保有(今回の売却対象)
- デビュー物件を少し高めフルローンで購入
- 金融畑なのでシミュレーションは細かい
- 勉強は前倒しでするが経験が足りない。やや頭でっかち
- 不動産特有の世界にてんやわんやしながら購入・運営とやってきた
- 不動産投資スタンスはフレキシブル。回せる物件を持ってチャンスが来れば売り買い
目次
投資マンション売却時期として適切か
投資用不動産の売却を考える際に、ポイントは二つあると思います。
- 不動産市況・相場
- 銀行ローンの残り(残債)
今回の場合は、前者の市況が良かったと思っています。
実際に購入時の価格よりも高値で買付申し込みが入りました。
後者の残債はどうかと言うと、購入してから2年半程度なので、まだ大して減っていない状況。
基本的には、相場の追い風を受けて売却に至っています。
しかし、もう一つ付け加えると、相場上昇を加味してもなお、それよりも全然高い価格で買い手がつきました。
半年前に外壁改修したり、満室であったりという要因はありますが、それにしても(いい意味で)想定外です。
買い手さんは、この利回りでいいの?と思いますが、全然OKなようです。
ローン完済まで持ち切るようなスタンスのようですし、考えている投資計画やスパンに違いがありますね。
既にいくつかマンションをお持ちのベテラン個人大家さんからの申し込みでした。
何が言いたいかというと、「不動産は売買当事者の個別事情が大きく相場だけでは決まらない」ということ。
頭では知っていたものの、株式投資との決定的な違いを思い知りました。
不動産の売り時というのは、相場という大きな流れに影響されることはもちろんなのですが、
結局のところ、買い手がついた時が売り時にほかならない。
今回は、業者さんの勧めで、かなり前からクローズドに高い売り指値を入れていたのが功を奏した格好です。
投資マンション売却の流れ
投資用マンション売却のおおまかな流れを上図に整理しました。
この記事で紹介するのは買い手募集~契約条件の交渉までです。
ニーズがありそうならその後のプロセスも書いていきたいと思います。
また、あくまで大きな流れなので、多少の前後や場合によってはプロセスが多くなることもあるかと思います。
前倒しでできることは、先にやっておいてもいいでしょうしね。
(先に進み過ぎてもダメですがケーズバイケースです。)
媒介契約の締結
不動産売却を業者に依頼する場合、下記の形態に分かれます。
- 一般媒介契約:複数の業者に媒介を依頼可能。自分で買い手を見つけることも可。
- 専任媒介契約:1社のみに媒介を依頼。自分で買い手を見つけることも可。
- 専属専任媒介契約:1社のみに媒介を依頼。自分で買い手を見つけることは不可。
どれを選択するかは、売り主のスタイル次第ですし、様々な意見があります。
ただ、基本的に業者は一般媒介契約を嫌います。一般媒介だと受けない場合もあります。
一般媒介は、業者からすると他社に契約を取られてタダ働きになるリスクがあります。
それだけでなく、自社と他社両方で買い手が見つかった場合や提供する情報にズレが出た場合などにトラブルになるリスクもあります。
私は、今回専任媒介契約を結びました。
理由としては、急いで売る気がなかったこと、情報拡散を限定的にして売り物件と認識されたくなかったことがあります。
業者さんも月に何度か顔を合わす気心の知れた人でした。
買い手募集
媒介契約を結ぶにあたり、業者さんと買い手募集の方針を摺合せます。
私は、業者さんの知り合い数社だけに情報共有するにとどめ、とにかく情報が拡散しないようにお願いしました。
基本的には受け身のスタイルで、条件が合いそうな買い手がいた場合のみ概要を出す程度です。
募集サイトに出さないし、買い手からの問い合わせにも積極的に条件を伝えるでもありません。
あくまで「条件が合えば売ってもいい」くらいで置いておく程度です。
いつまでに売りたいかで戦略は変わりますが、今回は残債を減らしながらあわよくばくらいに構えていたので、「条件に付いてくるなら売ってやらんでもないぞ」というスタンスでした。
売り急いでないほうが、高嶺の花子さん感も演出できます。
また、売り急いでいる場合でもサイトに載せるのは辞めたほうがいいでしょう。
投げるような物件と思われ、逆に買い手が付かないリスクがあります。
クローズドな物件ほど、表に出ないホットな情報であり、その後の交渉でも優位に立てます。
買い手への情報提供
具体的な買い手候補が現れると色々と質問事項が飛んできます。
自分が買う時のことを考えてもそうですよね。
本当に買ってもいい物件なのか要確認して、リスクを潰しておかなければいけません。
銀行融資にも関わってきます。
売り手としては、守秘義務契約を結んだ上で、情報を開示します。
取引が流れた場合に情報が洩れると困りますからね。
今回は、買付意向表明書に欲しい情報が記載されており、業者を介しても聞いていました。
この度、買い手から求められた情報は以下のようなものです。
ごく一般的なものかと受け取りました。
- 建物の設計構造
- 修繕履歴
- 管理の状況・諸コスト
- 入居者の状況(個人情報に関わらないもの)
その他に、直接面談して状況をヒアリングしたいというリクエストを受けました。
困ることもないし、快くOKしました。
私としても先輩大家さんの話を聞いたり、つながりができればいいな・・という下心?もありまして。
契約条件の交渉
売買価格、手付金の額、決済日などなど契約条件詳細を詰めていきます。
今回の場合は、値引き一切なしに応じて貰った上での話なので、それほど大きな交渉ごとがありません。
先方が管理会社を引き継ぐことを考えたいとか、そのくらいです。
手付金の額も1割という目線もありますが、本気度さえ示して貰えればいいので数百万円でOKです。
ポイントといえば、土地、建物の割合になるかなと思っています。
ただ、これも売り手(私)が個人名義かつ消費税納税ラインに乗っていないので、変に誤解を与えるような歪な割合でなければ、せめぎ合いもないように思います。
基本的には、売り手(法人や消費税納税事業主)は(消費税のかかる)建物金額を小さくしたい、買い手は(毎年減価償却費が計上できる)建物価格を大きくしたい、と考えるものです。
自分に不利がないので、ある程度相手方の希望に沿うことができます。
本記事のプロセスここまでです。先に行くとまだ売り手としての経験がないので・・・。
売却マンションの状況
マンションの経営状況
購入後のスタートダッシュこそ躓いたものの、順調に回り始めてからは家賃も上がって、コロナ禍でも悪影響はなく好調を維持しています。
満室経営も続いており、いま現在では当初の苦戦が嘘のようです。
このあたりの状況は下記記事参照。
不動産投資初心者時代の失敗談。マンション経営初期の失敗
マンション経営失敗から成功への体験談。満室獲得までにしたこと
このままキャッシュフローを稼ぎながら、ローンを減らして、利益を蓄えたところで売却というシナリオがまさに現実のものとなっているところでした。
むしろ家賃が安い部屋から順に退去して貰って、高値で募集し直していきたいとすら思っていました。
そうしたところでの買い希望ですから、強気の対応ができました。
なぜ売ろうと思ったのか
1年半以上前に、現在媒介をお願いしている業者さんから声がかかりました。
その時は、別の買い手候補がおり、「高値で構わないから回る物件を探している」というニーズでした。
この方は、法人で物件売却したばかりであり、課税所得を相殺するアテ物件が必要でした。
そこで、購入から日が浅い私の物件にも声がかかったのです。
媒介をお願いしている業者さんは、大家デビュー前から相談に乗って貰っており、道端で会っても雑談で盛り上がるような間柄の方です。
その人から声がかかりましたし、こちらとしても高値で指して買ってくれるのであれば万々歳です。
そこで希望価格で交渉して貰ったという経緯があります。
この時は、取引成立には至りませんでしたが、引き続きロングスパンでクローズドに指値しておいてもいいのではないかとの提案がありましたので、専任媒介をお願いしていたところでした。
残債も結構ありましたし、回せているのでビタ一文負ける気のない指値です。
買い手が現れると思っていませんでしたが、忘れた頃に出てきたという感じです。
投資マンション売却の準備
売却シミュレーション
購入時点から出口までを見据えた詳細なシミュレーションを回していました。
全て自分で納得いくまで組んだものです。
業者から提供されたものは基本的に使いません。
手前味噌ながら秘伝のタレみたいなものです。
- 90%稼働が継続
- 毎年0.2-0.3%づつ家賃下落
- 入退去年間3-5室
- 購入から5年後長期譲渡所得に変わるところで利回りプラス1%で売却
くらいの、石橋を叩いたシミュレーションを組んでいました。
基本的には長く回して残債を減らして、結構値が下がっても利益が出るようにという想定です。
なんなら、デットクロスする年まで回して、借り換えでそれもクリアして、更にもう5年回すくらいのプランもありました。
いずれにせよかなり保守的、ビビリな想定を組んでいます。
それが、購入時よりもかなり低い利回りで利食いできるので嬉しい誤算といったところです。
2棟目購入よりも先に売却できるとは思っていませんでした。
今回の売却は、当初のシミュレーションで5年回した以上の利益が出ます。
さながら大幅に時間を買うことにもなりました。
買い手との面談の準備
次のプロセスは買い手との面談です。
ここに向けて、リクエストがあった資料を揃えています。
といっても以前にまとめてあるのでファイルをガサっと持っていけばOK。
あとは、言葉を間違わないように頭の中を整理しとかないといけませんね。
当初の苦戦も含めて隠すことはありませんが、言い方で受け取る印象は随分変わりますからね。
これから不動産投資家デビューされる方は、資料は細かくキープしておきましょう。
きちんと回せているマンションであるんだとエビデンスが揃っているほど芯のある交渉ができますし、借換の際など銀行との話し合いにも役に立ちます。
次回、売却プロセスの続きの部分を書こうかと思っています。
初めての売却は1回キリ。
慣れてくるとこうした感覚もなくなると思うので、新鮮な感覚を書き残しておこうと思います。
マンション売却プロセス第2回「買い手との面談」は、下記の記事です。
【初体験談・対話形式】投資用マンション売却交渉時の面談
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