MiFID2の適用状況(2018年9月時点)

金融業界
2018年に始まった運用業界の規制「MiFIDⅡ」も適用から9ヶ月が経ちました。
当初は、探り探りのスタートでありましたが、この時点で大分形が出来てきました。
規制の形はアップデートされていく可能性がありますが、2018年9月現在の状況を整理しておきたいと思います。

投資家と証券会社との契約でサービス形態が分かれる

MiFID2は遠くない将来に先進国全体への波及が予想されていますが、現在適用されているのは規制元の欧州のみの状況です。
2018年初の適用当初の状況は「MiFIDⅡ施行後の日本金融業界への影響。証券会社毎に少しづつ差が出ている?」の記事で述べましたが、証券会社から機関投資家へのサービスは例えば下記のようにランク分けされていました。
  • 松:レポート配信+取材ツアー+個別ミーティング
  • 竹:レポート配信+取材ツアーの案内
  • 梅:レポート配信のみ
多くの投資家が年に1回(年始)契約を交わす形が主流になってきており、ほとんどの欧州投資家がこのような契約に基づいてサービスを受けています。
証券会社から投資家へのサービスメニューは大きく分けて、
  • アナリストレポート閲覧
  • 上場企業とのミーティング設定
  • 大規模カンファレンス
あたりになります。

アナリストレポートの閲覧

アナリストレポート閲覧の場合はその証券会社の全てのレポートを見るのか、特定のセクター/アナリストだけのレポートを見るのか、まとめ買いせず見たいものだけを1枚いくらで単品買いするのかなどメニューがあり、また個別交渉もできるので投資家によってサービス内容やお値段は異なっている状況です。
金額の詳しいイメージはなんとも言えませんが、アナリストレポート見放題で年間数百万円、単品買いで1枚数千円くらいといったところでしょうか。
運用会社毎に人数も異なりますし、なんとも目安が取りにくいところではあります。

上場企業とのミーティングアレンジ

上場企業とのミーティング設営に関しても、ミーティングアレンジし放題プランの他、1ミーティングあたりいくらの従量課金制などこちらもプランが複数あります。
金額イメージはアレンジし放題で年間数百万円、1ミーティング単発買いで1回2万円程度(1時間程度)+通訳料金といったところでしょうか。

大規模カンファレンス

9月から12月頃にかけて各証券会社で主要上場企業集めたIRカンファレンスを開催します。
これの参加についても他のサービスとパックで契約している場合はなんとも言えませんが、参加チケットのみ購入する場合は10万円程度が目安になっている模様です。
これは上記のように1ミーティングあたり2万円程度で買っていることを考えると、参加すれば5-10個くらいはミーティングする投資家も多いので結構割安です。
もっともカンファレンスは証券会社側としては投資家、上場企業の双方が数多く参加してくれ、それを仲介する場を提供することがステータスにもなるのでいくら安くてもいいから参加して欲しいところです。
それでも各社カンファレンス規模は欧州投資家がコストに敏感になったところも出てきたことから、昨年よりは少し減っています。

初年度となる2018年は安めのサービス料設定と考えられる

上記ようなイメージで適用が始まってきているようですが、2018年は初年度ということもあって各証券会社とも金額設定を安くしてきたようです。
その理由としては、MiFIDⅡ適用と同時に顧客である投資家に逃げられては困るということで、まずは安い値段で提示して顧客の囲い込みを図っています。
体力に乏しい、中堅以下の証券会社は金額競争についていけず脱落したものと思われますので、ここからは年を追うごとに、談合ではないですが各証券会社が半ば示し合わせたように価格を上げてくるだろうと思われます。

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